something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

ダイアローグがつながりを育てる

情報の疎通や取捨選択の可能性が変化してきたことによって、リアル世界における私たちの他者とのつながり方にも大きな変化が押し寄せています。近年のソーシャルという言葉の流行はまさにこうした事実を裏付けるものです。

他者とつながりやすくなった一方で、それに見合った質が伴なっているかと問われると、これはなかなか難しい問題です。コミュニケーションには相応の注意や配慮が欠かせませんから、無尽蔵に拡張できるといった性質のものではありません。むしろ範囲が拡散することで、個々の具体的コミュニケーションは浅くなりがちであるという矛盾を抱えざるを得ません。このように、私たちにとって良質なコミュニケーションとは永遠の課題でもあるのです。

対話とは社会の基礎単位でもあります。異質なものどうしをつなぎ合わせ、相互に理解を促し、新たに大きな一つのまとまりを生みだしていく活動が、ダイアローグと言えます。

対話は単なる会話や会議とは違います。それはいま一歩相手に歩み寄ると同時に、自分自身を見つめ、胸襟を開いて対峙する覚悟を必要とします。ダイアローグにおける関係の強度(信頼感)とそこから抽出される成果は比例します。

ksroom.hateblo.jp

ビジネスの到達点には「顧客」という相手との相互交流が存在します。それだけでなく、一連のプロセスには多くのステークホルダーとの関わりがあり、それ抜きには何事も成立しません。ゆえに、ビジネスの成否はつながりのマネジメント如何に懸かっているといっても過言ではないでしょう。

このつながりを担保する活動こそが、ダイアローグ、対話ということになります。もちろん何気ない会話というだけでも関係の維持には一定の効果を発揮しますが、対話をもって相手及び課題と正面から向き合うことで、関係の深化というつながりの質的向上と継続的進化を導き出すことができます。

終わりよければすべてよしではありませんが、着地点を確固たるものとしていくために、ダイアローグを強調しても強調しすぎるということはないはずです。