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アイデンティティの働き

組織的アプローチにおいて、アイデンティティはどう関係してくるのでしょうか。もちろん、個々人が確固たるアイデンティティを確立していれば、それに越し たことはありません。しかし、組織学習、組織成長という点で組織を基礎単位と考えたとき、アイデンティティ自体も持続的に進化、成長させていく必要があり ます。

アイデンティティを自己認識、自己規定のステップとするならば、自己をどのスケールまで含めるかによって、いくつかの階層が設定できます。組織活動を一人 称、二人称、三人称で分類するならば、下図のとおりグランドデザイン、ポリティクス、カルチャーの三段階に区分できます。

加えて、これらを継続的に進化させていくには、安易に自己完結する閉じたループとみなすのではなく、意図的に開かれた未完のスパイラルと捉えていく必要があります。

仮にアイデンティティに柔軟性がないならば、既存の認識スタイルで思考が硬直化し、現状にロックオンされ、成長はおぼつかないでしょう。これを未来志向で展開するためには、目的設定にあたるグランドデザインが適宜更新され、次のグランドデザインへとスイッチしていくための一定度の修正の余地(あそび)が組み込まれていることがポイントとなります。

変化に強い組織とは、変化に対抗するというよりもむしろ、組織体として、自らのアイデンティティを進化成長させる仕組みを持ちあわせていることがカギとなります。 アイデンティティは差別化要因とも捉えられますが、それは副次的効果にすぎません。アイデンティティには芯の強さと柔軟性という二面性を兼ね備えた働きが期待されています。

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