something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

ストーリー

モノ・コト幻想を打ち砕けるか

モノづくりが岐路に立たされたことで、コトづくりがもてはやされる。今や経験消費だ、感動追求だといわれるが、はたしてそれらの見立てに盲点はないのか。

レビュー:世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 山口周 著

本書は現代における経営の欠陥は美意識の欠如に起因するものとして、ビジネスにおけるアートの意味合いを説く。 時代の転換点にあって、20世紀型の成長モデルと連動した分析的、科学的アプローチには限界が見えてきた。いわゆる「正解」を追い求めるロジック…

落としどころを求めすぎてかえって見失うという矛盾

「ストーリー」があると言えば、整った帰結で、起承転結をはじめとする筋書きがあり、全体としての一貫性がある、といったイメージを思い浮かべるだろう。 では、論旨を伝えるためのあらゆる形式がストーリーと捉えられるのか。また、ストーリーを外れたとし…

フェイクが真の舞台をあぶりだす

なぜフェイクニュースがここまで浸透するのか。それはわれわれがSNSをはじめとして、ニュースの話題性、インパクトでものごとをはかるようになったからだ。当然、読者受けするかどうかが最優先で、事実か否かは二の次になる。

八方美人は刺さらない

希少性の時代から潤沢性の時代へと移り変わったことは、アプローチも相応に異なるという意味である。 需要と供給、その均衡や最大化というイメージは、旧来のグロスでのものの捉え方を引きずっている。予定調和的というか、線形思考というか。では、こうした…

アプローチは一方通行ではない

確かさ重視の姿勢からは、モノとして分かりやすく事実を同定したい欲求もわからなくはない。一方、モノをはみ出していく筋書きでは、体験という形をとって、その場その時の条件、背景、環境などと結びつき、より固有の文脈が強く主張される。この場合、汎用…

文脈の欠落による情報錯誤

フェイクニュースだけでなく、情報が恣意的にカット&ペーストされる現代では、文脈に係るリテラシーが読み解き精度を左右する。 どうしても印象的なフレーズやいわゆる「ささる」トピック表現が技巧的に追及されがちであるため、週刊誌的なタイトルばかり独…