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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

2014-01-01から1年間の記事一覧

課題設定といった場合の『設定』が意図するものとは何か

目的性が明快なものに実直に取り組んでいくことは、比較的方法論が確立されていますが、目的性自体を定義するとなると、格段に難易度が向上します。 今の時代、求められているのは「課題設定型リーダーシップ」です。日本はこれまで世界が設定した課題をしっ…

イノベーション幻想の先に何を見るのか

私見ですが、そろそろイノベーションという表現から卒業すべき頃合いではないかと考えています。なぜなら、イノベーションという表現が乱暴に使われてきた結果、「何となく現状を打破してくれそうな良さそうなもの」というふわふわした感覚が拭いきれないか…

学ぶということは失敗の先にある

無駄であるのと、無駄にするの違いはなんでしょう。また、意味がないのと、意味を見出す努力をしていないのでも大きく異なります。失敗という問題も、これらと同様に、いかに認識するかに課題があるものです。 真に新しいイノベーションは、数々の失敗のもと…

高齢が意味するロジックも変わって当然である

「高齢化」と聞いたとき、どんなイメージを持たれるでしょうか。まだまだ高齢化=悪、だから若い人を増やせといった議論が中心を占めているように思われます。 世界は急速に加齢しているが、わたしたちの寿命も延びている。世界的にみると、平均寿命は1990年…

将来に正解を求めることの勘違い

過去に学ぶことは大事なことですが、それと、過去に答えを求めるのとでは大きな違いがあります。 そもそも、将来を予測することで予め対策を練っておこうという受け身の姿勢と、将来像を描くことを含め主体的にこれからを構築するのとでは雲泥の差があります…

短期か長期か、その対照軸を疑ってみる

短期目標と長期目標、いずれの視点を重視すべきかは、悩ましい問題です。アメリカ流の株主志向もあり、短期的結果を追ってしまうことは、現前の評価基準を優先する意味において、当然の帰結ではあります。 「利他の精神」を掲げる企業は多くても、実際の個々…

私たちにつながらないという選択肢はあるのか

つながりやネットワークというキーワードはもはや当然のものであって、何らそこに目新しさはありません。それではつながるべきか、つながらざるべきか、どうやって選別していけばいいのでしょうか。 グローバリゼーションが上げた成果を維持するのであれば、…

モノコト発想をもう一度見直してみると…

ものづくりへの偏重への自戒を込めてことづくり、コトへの転換を説く議論はずいぶん言い尽くされてきたところです。しかしいまだそれが問われ続けているということは、ものづくり思考からの脱却が思うように進んでいないということでしょう。 西欧の二分法が…

したたかさこそがデザインである

「デザイン」とは体裁のいい表現ですが、実体としての意味内容があいまいになる傾向がありますので、ここではデザイン=対象への接近法と読み替えてみたいと思います。 ビジネスとは対外折衝が避けて通れませんので、まさにここで定義されたデザインと意を同…

組織あっての自分をどう表現していくか

組織人や会社人間というとネガティブな印象を持たれるかもしれませんが、人間とは大なり小なり外部とのつながり、折衝を通じてのみ自己を表現しうるというのが現実の姿です。自分の思考は唯一無二の独立した、尊いものだとの思いは大事なものですが、そのア…

人間行動はどこまで科学で解き明かせるものなのか

人と人とのかかわり、ネットワークの重要性は今更繰り返すまでもありませんが、こうした、従来であればヒューマンファクターとして定性的にのみ捉えられていた領域に対しても、ビッグデータや情報技術の高まりによって定量化の道筋が見えてきたようです。 人…

他者あってこそのわれわれの自由という発想

自由に発想するということがよく言われますが、自由=無制約という認識ではそれこそ無節操になりかねません。 自由の本質は、他人との関係を持たないことからくる自然状態の在り方をいうのではなく、人々との関係の充実にあるのである。われわれは、他の人と…

型とは制約なのか、それとも発展の契機なのか?

型への向き合い方には大きく分けて二つの方法があります。 ひとつには、型を身につけるという受けの作法、もうひとつには、型を超えるという攻めの作法。加えて、この二つは互いに背反するというよりも、コインの表裏の関係にあって、不可分のもの、相互に互…

戦略の役割はどう変わっていくのか、いやどう変えていかねばならないか

変化には二通りの位置づけが存在します。それは迫られて対処せざるを得ない「変化」と、先んじて仕掛けていく「変化」です。 企業、組織が変化に向き合ううえでは、何を変えるか、そして何を変えないかの見極めが肝要です。当然、いずれか一方に偏ることは弊…

論理的、合理的がいつも正しいとは限らない

過剰適応という表現がありますが、合理性についても同じことがあてはまるようです。合理的とは非常に理知的性質を示すものであって、何ら否定される要因ではありません。しかし、すべてを計算し尽くした(かのような)態度は、ネガティブな面を惹起すること…

Simple is best のシンプルとはどういう状態を指し示すのか?

言葉や表現というのは、日常的にそれほど意識せずに使っていることが多いですが、時折立ち止まって、何を言わんとするのかを問い直す必要のあるものです。理念に始まり、ビジョンも戦略も、コンセプトもみな、あたり前ですが言葉で表現されるものです。 何と…

最適がほんとうのゴールなのか?

最適化というのも、ビジネスにおいてよく用いられる表現の一つですが、これも曲者といっていいかもしれません。これはやはり効率性と連動した概念といっていいかと思います。 ある特定の枠組み内においては機能を発揮する考え方ですが、枠組みそのものが問わ…

イノベーションという言葉に騙されていないか?

イノベーションという言葉は、非常に乱暴な言い方をすれば、何か新しいこと、目先の変わった取り組みを指し示すものとして、安易に氾濫している印象を受けます。それゆえ、イノベーションが何を指し示しているのか、腰を据えた問われ方をすると、途端にあい…

情報に善し悪しはあるのか

私たちは豊富な情報に恵まれるようになった現代、いかにも情報を駆使して能率を向上させ、高い成果に結び付けている気になっています。 しかし、情報量とマネジメント力が比例するかどうかはまた別の問題です。 適切な意思決定をしようと思えば、情報が重要…

クールとホットの拮抗

現代の技術的進歩の恩恵として、あらゆる面でクールさが増しているように感じられます。このクールさをあえて日本語的に言い換えるならば、論理的や理知的、効率的や最適化といった側面が際立ってきます。スマートということでもあるでしょう。スマホなどの…

変わるではなく、変えるという意志

変化の追及が声高に叫ばれますが、もっとも変化させるべきものは意外と対象として捉えられないものなのかもしれません。 戦略の目指すものとして「現在取り組んでいることから上手く離れる」ケースが少なくありません。 過去何度も上手くいっていることに、…

変化の捉え方を見直してみる

不確実だからこそ、先んじて変革を進めるべきだという論理と、不確実だからこそより安定した基盤を築きたいという心情は、同じ情況下への対応として相矛盾するものです。 解っていてもできない、という原因はこうした点にも求められます。 ほとんどの企業に…

手放すことでしか得られないものもある

自らの知を育成するにはどうすればいいでしょうか。 時に「出し惜しみ」や「囲い込み」は、知にとってはマイナスの効果をもたらします。 一般的な物財であれば、内に蓄積すればいいということになりますが、情報や知といった場合、別の異なるロジックを必要…

工業化か脱工業化か、それは選択の問題だ

20世紀の工業化、大量生産中心の思想から、そろそろ脱却する時なのかもしれません。 けっしてあたり前ではなかった標準化という発想が、この100年でわれわれの認識をロックオンしてしまいました。そのことに意識的に疑問を呈することがいま求められています…

未来志向の管理とは

「管理」と聞いたとき、あなたはどういった状況を思い浮かべるでしょう。 そこには型にはめていくといった、縛りの強いイメージがあり、創造的なものとは認識しがたいのが通例かもしれません。 しかし、「管理」をそのようなつまらないものに貶めているのは…

不安定が安定を生み出すという逆説

われわれが安心や安定を求めることは、特段否定されるものではありませんが、それを目的とみなして、なんら支障はないでしょうか。地歩を固めようという意志と、すでに凝り固まった地歩とは、似て非なるものです。 成長を目的に据えるならば、単なる現状延長…

よい制約とわるい制約、なにが違うのか?

自由と制約とはセットで扱われるものです。無条件の自由というのは幻想です。制約という縛りがあってこそ、自由という特質が顕在化することになります。ですから、自由に発想するというためには、適切な枠組みを用意するという準備が不可欠だということです…

競争からの逃避は可能なのか?

競争と一口にいっても、その形態はさまざまです。他を蹴落として自らだけが生き残るというのはむしろ極端なケースかもしれません。多様なネットワークに重層的に関わりを持つ状況下では、他者にいかに接近できるかが競争要件の核心ともなります。 こう考えた…

いまあらためて「競争」を考える

7月26日、インサイトミーティングを開催しました。 今回のテーマは『競争』です。 何をいまさらと思われるかもしれません。しかし、競争という至極当たり前に思えるものでも、企業活動において明確に位置付けられていないケースが意外と多いのです。昨今…

やわらかい権力はあるか?

権力と聞くとどんな印象があるでしょうか。 それはポジティブ、それともネガティブなものでしょうか…良い悪いというのは極論で、権力に色はないという意見もあるかもしれません。また、力を行使する側に立つか、逆に行使される側に立つかでもまた、印象は180…