something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

クールとホットの拮抗

現代の技術的進歩の恩恵として、あらゆる面でクールさが増しているように感じられます。このクールさをあえて日本語的に言い換えるならば、論理的や理知的、効率的や最適化といった側面が際立ってきます。スマートということでもあるでしょう。スマホなどのがジェットはその最たるものかもしれません。

一方で、そこには肝心な何かが欠けているように感じられることはないでしょうか。

ある種、機械的とも見なされるクールさは、われわれ人間のあいまいな部分を無用のものとしてそぎ落としていきます。しかし、一見無駄に思われるそうした「あいまいさ」が人間を人間たらしめている要因であることもまた事実です。

そうした人間らしさを象徴的に表す表現が「ホット」ということになるでしょう。

人間は感情を持った動物ですし、人と人との結びつきや触れ合いは、まさに温もりあるものに他なりません。ホットが意味する最たる要因は、人間の持つ「意志」といえるでしょう。オペレーションを的確かつ迅速に処理するのはクールな領分ですが、そもそものオペレーションを起動する駆動力がホットということになります。

つまり、経営を論理的かつ合理的に進めるという点ではクールさが求められる一方、その意思決定の本丸はホットな瞬発力を要請されるものです。

このように、マネジメントの領域においてクールとホットは拮抗する概念であって、むしろ意識的にクールとホットをぶつけあうことが不可欠なものです。クールを優先しがちな人はホットに、ホットを優先しがちな人はクールに、いま一つの視点を追加することが有効と思われます。