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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

リアリティ

ブックレビュー アナログの逆襲 デイビッド・サックス著 を読んで

アナログは死んだのか、それは無用の長物に成り下がったのか。 本書ではアナログの復活を通じて、アナログでなければならない必然性に光を当てていく。 取り上げられるものは、レコード、紙、フィルム、ボードゲーム、プリント、リアル店舗と多岐にわたり、…

レビュー:プレイ・マターズ 遊び心の哲学 を読んで

遊びとは何か? そもそも、遊びとは一段低くみられていることもあって、それほど真剣に考えられることもないのだろう。 しかし、遊びには別の意味もある。たとえば、物と物との干渉を和らげるためには、一種のあそびが求められる。あそびがあるからこそ、う…

レビュー:福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 池田善昭、福岡伸一著

わたしたちは、現代的な思考作法にならされてしまっているので、ロジカルに考えることは善きことだとして何ら疑問に感じない。 しかし、そのロジカルこそが、大事なことを覆い隠してしまう盲点だとしたらどうだろう? 確かに論理的に物事を考えることで、状…

モノ・コト幻想を打ち砕けるか

モノづくりが岐路に立たされたことで、コトづくりがもてはやされる。今や経験消費だ、感動追求だといわれるが、はたしてそれらの見立てに盲点はないのか。

レビュー:なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか? 松村嘉浩著

最近はやりの小説仕立て、対話形式で読める経済書といっていいだろう。その意味では読みやすいので、早ければ1日、2日で読み終えられる分量である。 われわれの不安の元凶は何か、どこにあるのかが本書の主題だ。 端的にいえば、これまでの資本主義経済シス…

レビュー:変化の原理 問題の形成と解決 ポール・ワツラウィック他著

変化の必要性はしばしば問われているものの、実際、変化とは捉えどころがない部分もある。本書は心理学的臨床から敷衍して、変化の本質に迫ろうとするアプローチである。 大きな論点としては、変化といっても単一ではないということにある。 わかりにくいか…

レビュー:小売再生 リアル店舗はメディアになる ダグ・スティーブンス著

小売りは物を売るのではなく、体験を売るべきだ。今やよく聞かれる論調であり、本書の主旨もその点で共通している。 小売というモデルが、古き良き20世紀的な、生活の欠乏をモノで満たすことが第一義であった時代の名残だとすれば、もはや環境が小売というス…

レビュー:現象学入門 竹田青嗣著

主観と客観の二項対比というロジックは、あまりに深く刷り込まれているため、よほど意識しない限り、その呪縛から逃れることは難しい。もちろん、素朴な自然科学に限っての話ならば、とくに支障はないのだろう。ただし、ことが人間行動にかかる領域の話とな…

リアルだからこそできること

極限的な利便性や効率性において、リアルはネットにかなわない。そこでは機械的処理を基本とするため、人間の関与は無駄な遠回りにすぎないのだ。これとは対極的に、人間関与の意味を問うならば、ネットにはできないこと、ネットとは異なる働きに着眼しない…

グローバルが積み残してしまうもの、スケールとは異なる視点

規模の経済性、グローバル化の進展、さも大きいことは良いことだといわんばかりの状況ではある。しかし、人間の視野は有限だ。スケールを追えば、その分犠牲になることも多くなる。

フェイクが真の舞台をあぶりだす

なぜフェイクニュースがここまで浸透するのか。それはわれわれがSNSをはじめとして、ニュースの話題性、インパクトでものごとをはかるようになったからだ。当然、読者受けするかどうかが最優先で、事実か否かは二の次になる。

大は小を兼ねない、等身大が持つ含意

物事の把握にはスケールが必要だが、それが単一だという必然はない。当然、それが時代とともに変化しないという保証もない。 グローバルが喧伝され、大きいことは正義であるかの如く、そうした単一規準を万能とみなす風潮が、足元を見えなくさせる。本来人間…

良いもの=売れるなんて単純なものではない

良いものさえ作れば売れるとはよく耳にする言い回しではあるものの、それはほんとうか。 もちろん、単一指標に近い(ほかの基準がない)時代にあっては、必然的に良ければ売れるというわかりやすい図式があったかもしれない。しかし、それこそ「良さ」が千差…