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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

せねばならない論は聞き飽きた

変わらねばならない、またかと思うほど、聞き飽きた言い回しだ。そんなことはわかっている、だけどできないんだから仕方ないだろう、というのが本音ではないか。 結局、変わらない、変わりたくないということは、そのほうが個人的にメリットがあるという単純…

現状延長という幻想

意思決定を先送りする方便として、現状延長という物言いがまかり通っているが、よくよく考えるとこれはちょっとおかしなところがある。もし現状延長なる形態がほんとうに成立するならば、それは相当な高尚技巧を要するはずだ。 なぜなら事態は刻々変化する、…

はなから無駄などというものはない

世間一般の認識では、無駄があればそれは排除してしかるべきと誰もが答えるところだろう。はて、それではその無駄なるものは、何故に無駄なのか。 単一スケールの評価判断においては、それから外れるものがすべて無駄ということになるだろう。つまり、裏返し…

おもてなしはまさに表無しかもしれない

おもてなしが一時期ブームになり、それがさも日本らしさであるかのように混同されているけれども、本当にそれでいいのか、一度立ち止まって考える必要があるだろう。 オリンピックをはじめとして、人はどうしても体裁から入る傾向にある。今の東京に相応しい…

インテリジェンスにとっての最大の弱み

インテリジェンスの最大の弱みとは何か。 逆説的かもしれないが、インテリジェンスにとって、インテリジェンスこそがウィークポイントとなる。知をもって物事を制するという発想は、知ですべてを統べるという錯誤を生み出しやすい。結果的にインテリジェンス…

そこに五感を刺激するものはあるか

いかに売るか、どう省力化して効率良くするか、そういった問題認識には決定的に五感が欠けている。 もちろんモノを得てそれで十分満たされる時代もあったかもしれないが、現代はそこに愉しみがあるかどうかが大きな分かれ目となる。人間を惹きつけるものには…

製造業から脱皮できるか

いわゆる自動車メーカーが移動サービスプラットフォームへと脱皮しようとしている、これは時代のすう勢だ。 製造業は売り切りモデルで、販売後はあくまで付随的サポートの位置づけだ。一方のサービス業では、付随とみなされていたその後こそが主戦場であって…

フィールドを間違えていては戦えない

指標とは便利なものである一方、下手に数値に囚われると、目指す道筋を踏み外すことになりかねない。価格とは大量生産ありき、モノで満たすことありきの時代の残滓にすぎない。 多様性が叫ばれている割に、ものごとには絶対的な基準があるかのようにいまだ錯…

機械が媒介する人間関係も悪くない?

機械化というと、人間性の欠如した、冷徹なイメージがあるかもしれない。しかし、人間同士のぶつかり合いが永遠の社会課題だとするならば、そのバッファーとして機械を噛ませることは悪くない筋だといえる。 要は感情をスポイルしてしまうのではなく、感情促…

バスワードの罠にもっと自覚的になれ

システムとは複雑性の縮減とよく言い現わされるが、ほんとうに縮減などできるのか。 厳密にいえば、全体視のために細部は捨象して、さもそれらしい本筋のみを語るというところだろう。もちろん選択と集中のように、焦点を絞ることに相応の意義はあるとしても…

高等技術としての引き算

モノゴトを端的に表現することは非常に難しい。短ければいいというものではないし、小難しい単語でごまかせるものではない。 噛み砕くとはよく言われるけれども、とても厄介なプロセスである。前提として、きちんと自分自身で咀嚼できていなければ、どうにも…

正しい景観など存在するのか

100年を過ぎれば、否応なしにそれが確たる遺産へと昇華される。その意味においては、どの時代まで遡ってそれを原風景と位置づけるかは、あくまで立ち位置次第なのだ。 高度成長期が猥雑であったのは事実かもしれないが、それも100年たてば立派な歴史遺産の体…

同調は卑下すべきことなのか

空気を読む、人の顔色を読むというと、主体性のない、ネガティブなものと捉えられがちであるが、要は使い方の問題だといえよう。 確かに無自覚に周りの情報に振り回されるのは好ましいことではないが、共通の話題としての最低ラインを押さえておく、文化レベ…

良いズレと悪いズレ

一般には合致が良きものとして理解されているが、それだけだと味気ない。われわれは違和感に興味を抱くからだ。 もちろん、まったくの正反対で、何ら関連付けもできないような違和感は不快なだけかもしれない。しかし、微妙にニュアンスが異なるなど、自身の…

その知は伸び縮みできるか

不正確な中であれば正確さは意味を持つが、正確さがデフォルトになったとき、それはあたり前として無価値に転じる。 事実は伸び縮みしないが、われわれの思考は伸び縮みさせることが可能であるし、それが強みにもなる。正誤判断の相対的意義は低下し、事態の…

アプローチは一方通行ではない

確かさ重視の姿勢からは、モノとして分かりやすく事実を同定したい欲求もわからなくはない。一方、モノをはみ出していく筋書きでは、体験という形をとって、その場その時の条件、背景、環境などと結びつき、より固有の文脈が強く主張される。この場合、汎用…

手前みそよりもっと欲張りに

貪欲さというと、自分事ばかりと受け取られがちであるが、どうせならもっと欲張りに、自分の枠内だけでなく、自分の枠外をも巻き込んでいくぐらい欲張りであっていい。 社会とは個々人があえて自己の外に張り出してくるもの同士のぶつかり合いなのだから。 …

データや技術が勝手に方向付けしてくれるわけではない

情報技術隆盛の今、どうしても技術偏重になりがちなのは致し方ない。とはいえ、技術がわれわれに方向付けしてくれるわけではない。われわれが、方向付けを行って技術を援用するのだ。 であるから、われわれ人間の多様さ同様に、人間理解のための評価軸を多く…

謝罪はクロージングでなく出発点

リスク管理として、もちろん人間行動の基本の一つとして、謝罪は避けられないが、目的を的確に位置づけることが成否を分ける。 どうしても人間心理として、はやく事態の収拾を図りたいとの意識はやむを得ないが、それは目的がずれている。謝罪は終えるための…