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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

共創、競争

レビュー:変化の原理 問題の形成と解決 ポール・ワツラウィック他著

変化の必要性はしばしば問われているものの、実際、変化とは捉えどころがない部分もある。本書は心理学的臨床から敷衍して、変化の本質に迫ろうとするアプローチである。 大きな論点としては、変化といっても単一ではないということにある。 わかりにくいか…

レビュー:ブルー・オーシャン・シフト W・チャン・キム他著

今や定番のブルー・オーシャン戦略の新刊である。シフトという題目のとおり、ブルー・オーシャン戦略を現場に落とし込んでいくためのツールの活用、ハウツー版といっていいかもしれない。ブルー・オーシャンの理論そのものを押さえるなら前著のほうが体系が…

あなたはこれからも従属し続けるのか?

人は一般に押しつけを嫌うものです。もちろん従属がやむを得ないケースもあるでしょうし、ある意味で賢い対処法なのかもしれません。しかし、それは生産的だといえるでしょうか。少なくとも積極的に追及したい方法ではないはずです。 これは指示する側にも同…

自分起点か相手起点か、競争概念の拡張を通じての再認識

マーケット・インか、プロダクト・アウトか。こういうと、とかくいずれか一方、二者択一の議論になりやすい。もちろん、状況を分かりやすく単純化できればそれに越したことはない。しかし実際には、それほど単純に割り切れるものは少ない。

「顔」が見える関係の意味するもの

情報に媒介された空間の広がりによって、私たちが関与できる可能性は一段と拡大してくる。容易に「装う」ことで、さまざまな表現が可能になる一方、どこかに芯を設けなければ、確たる立ち位置を示すことは難しくなる。 その意味で、顔が見えるかどうかが、基…

八方美人は刺さらない

希少性の時代から潤沢性の時代へと移り変わったことは、アプローチも相応に異なるという意味である。 需要と供給、その均衡や最大化というイメージは、旧来のグロスでのものの捉え方を引きずっている。予定調和的というか、線形思考というか。では、こうした…

共創は万能ではない

今日的なテーマとして、共創やソーシャルがもてはやされるが、それは一種の危険を伴う。 視点を自分から共というコミュニティに移譲することは、一見して「正しい」と認識されるがゆえに、個々人の主体性が薄まることに無自覚となる。 共創とは、個々人がそ…

原点は人間らしさに

人間が求めるものは難しいようで実は至極あたりまえの簡単なことなのかもしれない。 むしろ小難しく、それがさも価値があるように虚飾してしまうことで、自ら迷路に迷い込んでいるだけなのかもしれない。 何を付け加えるかではなく、何が要らないか、無駄を…

提供という上から目線では足りない

PRは関係性だと言いつつ、どう提供するかという話に終始するのでは本末転倒。授受というロジックに縛られているうちは、関係性というフラットな結びつきと、そこからの発展的展望は見えない。 つまりは「企業や組織がいかに世の中とうまくやっていくか」とい…

自動化は何をあぶりだすのか

一時期中抜きと称して卸を介在させない直販がもてはやされたが、効率だけを突き詰めるなら、物を買うチャネルとしての小売自体が不要とされる可能性もある。 自動化はわれわれの関与自体を排除していくが、はたしてそれだけでいいのか。人間の注意、関心が希…

競争に勝利して何が残るのか

力でねじ伏せる、ここで言われる「力」には瞬発力はあっても、持続性はない。競争とは単なる力比べでいいのか。「力」は相手に作用するばかりでなく、自らにも返ってくる諸刃の剣に他ならない。そうであれば、力を振りかざすのではなく、力を使いこなす技巧…

競争=協調?

相手あってのものだねとするならば、制圧が最善手とは限らない。限られた資源を奪い合うゼロサムゲームを繰り広げるのか、それとも互いに成長できるプラスサムを目指すのか。現前の競争に振り回される前に、競争の構図をコントロールする意識が求められる。 …

断片化と連携化

物事をモノとして物象化して切り分けるのか、それとも継続的に継起し続ける振る舞いという意味で動態化して捉えるのか、この違いは大きい。 人がものを買うのは「欲しい、あるいは必要だから」という考えは、部分的にしか正しくない――と言うのは、ベストセラ…

引き算がもたらす余地の可能性

押してダメなら引いてみろとは言い得て妙で、「発想の転換」が突破口となる場合もあります。考えようによっては、足すよりも引くほうが高等技術です。一見すると不完全なものに可能性というプラスアルファを見出す解釈もできるでしょう。 何事も自己完結させ…

「営業」という表現はもはや時代遅れのもの

営業というと売り込むというイメージが強い表現ですが、現代の双方向性の世界では、一方的な営業というスタイルは時代遅れと言っていいかと思います。 今日の優れた営業は、顧客が目標を達成するために必要なことを気づかせ、それに応える。 優秀な営業担当…

逆流するロジスティクス

歴史的にみるならば、工業化が集団としての企業、組織の役割を拡大してきました。それに引き続くサービス化においても、基本となる構造の大筋に変化はなかったといえるでしょう。そこには何らかのものを『提供する』という、一意の方向に沿ったロジスティク…

あなたにとっての顧客はどこに位置付けられますか

対話は今も昔もビジネスの基本ですが、そもそも提供者と受容者という区分け自体が時代にそぐわなくなってきているのかもしれません。その意味で「対話」という形態も進化してきていますし、進化させていかなければならないということでしょう。 「ユーザーの…

イノベーション幻想の先に何を見るのか

私見ですが、そろそろイノベーションという表現から卒業すべき頃合いではないかと考えています。なぜなら、イノベーションという表現が乱暴に使われてきた結果、「何となく現状を打破してくれそうな良さそうなもの」というふわふわした感覚が拭いきれないか…

組織あっての自分をどう表現していくか

組織人や会社人間というとネガティブな印象を持たれるかもしれませんが、人間とは大なり小なり外部とのつながり、折衝を通じてのみ自己を表現しうるというのが現実の姿です。自分の思考は唯一無二の独立した、尊いものだとの思いは大事なものですが、そのア…

競争からの逃避は可能なのか?

競争と一口にいっても、その形態はさまざまです。他を蹴落として自らだけが生き残るというのはむしろ極端なケースかもしれません。多様なネットワークに重層的に関わりを持つ状況下では、他者にいかに接近できるかが競争要件の核心ともなります。 こう考えた…

いまあらためて「競争」を考える

7月26日、インサイトミーティングを開催しました。 今回のテーマは『競争』です。 何をいまさらと思われるかもしれません。しかし、競争という至極当たり前に思えるものでも、企業活動において明確に位置付けられていないケースが意外と多いのです。昨今…

意思決定とはYesかNoかを単に線引きするだけでいいのか?

わたしたちはものごとを二元論で整理する方法になじんでいます。ありかなしか、白か黒か、効率的にものごとを進めていくには極めて効果的な方法ですが、一方で大事な観点を見落とす危険性もはらんでいます。 たしかに、単純明快で、スパッと割り切れる問題系…

共感こそがカギを握る

共感、共有、共創… 『共』という概念がデザインを考える上でのキーポイントに挙げられます。 一方、デザインは、その発端を個人ではなく社会にもつ。他者と共有できる問題を発見し、それを解決していくことが「デザイン」である。だからデザイナー は、より…

いま一度CSR、CSVを見つめ直す

CSRやCSVという表現が多用されるようになってずいぶん経ちますが、そもそもどうしてそういった論点にスポットが当たるようになったのでしょうか。 本来の意味でいうと、「CSRとは企業活動そのもの」と言っても過言ではない。CSRは、企業を取り巻く顧客…

情報化は距離感を狭めるのか、拡げるのか?

情報環境の変化に伴って、私たちのコミュニケーションも大きく変質してきています。これを顧客との距離感として読み替えたとき、はたしてそれは近づいているのでしょうか?それとも遠ざかっているのでしょうか? 技術が進歩し、顧客がそれに適応して変化する…

技術信仰と技術利用の違い

技術は優位性の源泉にもなりますが、手段であるということを忘れては成り立ちません。 「作り手の考えるよいもの」=「高機能の製品」という考えが日本の企業に刷り込まれてしまったように思えるのです。つまり、高機能製品を作れば売れるという考え方です。…

競争をどう位置付けるか?

競争とは、ただ勝てばよいというものでしょうか。 競争が持っているもともとの意味には『共に』というエッセンスが含まれます。 「競争」を意味する英語のcompetitionはラテン語のcompetereに由来し、「共に努力する」を意味して、私たち一人ひとりが互いに…

ビッグデータと技術志向

科学と技術の関係については、20世紀の科学の進展が、科学に基づく技術という思考を確たるもの、ゆるぎなきものにした感があります。 いまでこそ、科学技術とも称されるように、科学と技術が連動している、科学をベースに技術が体系だてられることがあたり前…

ビッグデータとインテリジェンス

インテリジェンスの考え方の基本には、情報を征するものが世界を征するといった発想が連綿と続いているように思われます。これは言い換えれば、情報が貴重 資源であって、それを専有できるかどうかで勝負が決まるということです。しかし、ビッグデータへのア…

ビッグデータとつながり

ビッグデータの優れている点はどこにあるのでしょうか。それはデータの中に埋もれている、われわれが思ってもみないような関係性を浮き彫りにしてくれるところです。いわばデータ版のつながりマネジメントといってもいいかもしれません。 これまでいろいろと…