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逆流するロジスティクス

歴史的にみるならば、工業化が集団としての企業、組織の役割を拡大してきました。それに引き続くサービス化においても、基本となる構造の大筋に変化はなかったといえるでしょう。そこには何らかのものを『提供する』という、一意の方向に沿ったロジスティクスの仕組みという共通項が認められます。

しかし、アクセスの容易さや多様さという「つながりかた」の変容は、下敷きとしてきたロジスティック思考自体を白紙に戻す作用と捉えることが出来ます。

時代は、経済活動の第3段階である「everyone-to-everyone(E2E)経済」へと向かいつつあります。 E2E経済では、顧客「個人」と企業「組織」の関係性自体が変質します。両者の役割があいまいになり、より顧客の嗜好に合わせた体験が創出されるようになります。 モバイル革命は、100年で3度目の大変革だ 起こりつつある「E2E経済」の衝撃 東洋経済オンライン

こうなってくると、旧来からの『客』という位置づけ自体が時代遅れとなる可能性が大きいでしょう。なぜなら客には受け手、受容者というポジションが割り当てられているわけですが、客自身の主体性が存分に発揮された時、もはやそれは受け手という受動的存在に留まる事はないからです。

個々人との接触頻度が上がるということは、より一層相手の顔が見える関係となることを意味します。つまりそれは、これまでのような客という対岸の括りではなく、○○さんという固有の存在へと切り替わることを意味します。

これは特段大きな変化というわけではなく、ある種の原点回帰なのかもしれません。これまで量やスケールを追う世界の中で見逃されてきた、相手を明確に意識するというコンタクトポイントに、今一度立ち返るにすぎないとも言えるからです。