something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

戦略

レビュー 他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論 を読んで

世の中の問題には、本書にあるように、「技術的問題」と、「適応課題」と、二種類ある。この部分は重要だ。たいていの人はものごとを白黒付く、正解のあるものとみなす。それは技術的問題として解けるということを含意する。 一方で、正解を一つに決められな…

レビュー:小売再生 リアル店舗はメディアになる ダグ・スティーブンス著

小売りは物を売るのではなく、体験を売るべきだ。今やよく聞かれる論調であり、本書の主旨もその点で共通している。 小売というモデルが、古き良き20世紀的な、生活の欠乏をモノで満たすことが第一義であった時代の名残だとすれば、もはや環境が小売というス…

逆張り戦略 死に体ほど御しやすし

中途半端な陳腐化はもっとも御しがたい。しかし、決定的に陳腐化したもの、いわゆる時代遅れといわれる領域には焼き直しのチャンスがある。 なぜなら使える生き筋はすでに徹底的にそぎ落とされて一点に集約されている。逆にそれ以外はすべて捨て去っても構わ…

フィールドを間違えていては戦えない

指標とは便利なものである一方、下手に数値に囚われると、目指す道筋を踏み外すことになりかねない。価格とは大量生産ありき、モノで満たすことありきの時代の残滓にすぎない。 多様性が叫ばれている割に、ものごとには絶対的な基準があるかのようにいまだ錯…

目先の変化に踊らされるな

半ば強迫観念のように変わらねばならないと、変わることを訴える論調をよく耳にする。 もちろん結果として一定の変化が生じるのは必然であろうが、変わること自体を目的化してしまうと、目先に踊らされることにもなりかねない。 いわゆる変わらねばならない…

経済性と社会性のバランス感覚

経済性と社会性のどちらが優先するかというのは、卵が先か鶏が先かの議論にも通じる。いずれもが組織の存立に欠かせない以上、その優先順位にこだわるというよりも、両立に向けたバランスある目配りができるかどうかが期待される。 その意味では、入り口はフ…

本質ありきとは限らない

本質ありきという考え方は、ある種の正解を求める思考と共通するので、かえって発想を狭めてしまう可能性をはらんでいる。 原因と結果という帰結でものごとを「わかりたい」という欲求はわからないでもないが、何でもかんでも分かることから始めようとすると…

スケールメリットが効く領域での戦略

収獲逓減か収穫逓増か。工業社会かインターネット社会か。20世紀型か21世紀型か。 急いては事を仕損じる。スピード優先社会で誰もが功を焦る状況だからこそ、ためが必要な領域の見極めが問われている。弓を引き絞るが如く、十分なためがなければ必要な力は引…

もうモノでは満足できない

かつてはモノを手に入れること自体で達成感があったが、現在はモノに振り回されるのはかっこよくないという認識に変わってきた。つまり、いつまでもモノを追いかけるビジネスモデルでは通用しないということだ。 ではモノの先に何があるのか。生活という時間…

負け上手こそが戦略 常に次を考慮に入れる

競争では勝つことがあたりまえの目的になっているため、負けることを想定することは存外困難である。 しかし永遠に勝ち続けることはできない以上、いかに負けるか、上手に負けるかが実は総合的に見たときに肝となる。 「勝負」というものは、“最終的に生き残…

もっと貪欲になる

二者択一ではなく二者両得は可能か。どちらかではなく、次元の異なる第三の方法はあるか。下手な効率化は思考停止を招く。論理だけではなく思考の切り替えの柔軟性が差異を切り拓く。 ほとんどの企業は戦略や文化を決める際、「どちらか一方」を選択しようと…

ほんとうの意味で試行錯誤できる情況にあるか

試行錯誤とは含蓄のある言い回しですが、ミスが許されない世界においては必ずしも歓迎されない方法論かもしれません。加点法がいいのか、減点法がいいのか、一概に論じることはできませんが、前者が積極性と、後者が消極性と結び付く可能性は高いといえるで…

その戦略に機動力はあるか

戦略の本分が現実を変えることにあるとするならば、一旦決めた戦略だから変えられない(戦略を定めた以上後はただそれを実行するだけ)という論理は矛盾をはらむことになります。 イギリスの国際政治学者のローレンス・フリードマンですが、彼が2013年に出し…

変える戦略、変えない戦略

目につきやすいという意味で、一般的には「変化」に注目が集まりますが、変化とは安定という対比軸があって初めてクローズアップされるものです。もし仮に変化ばかりであれば、それが常態であって、特段変化というものを意識することはないでしょう。 このよ…

戦略的戦略ってなんだ?

戦略が一般的なビジネス用語として多用される現在ですが、あまりにも安易に戦略と名付けられることで、かえって混乱を招いている事態をよく見かけます。私たちがあたり前と考えていること、単純なことほど実は難しいものです。 戦略的○○といわれるとき、そこ…

基本フレーム

はじめに、ここで取り扱うマネジメントの全体的な体系、フレームワークを示しておきたいと思います。 もっとも基本的なプロセスを、大きく4つのステップから整理していきます。 1、目的性に関する領域 ――― 自分たちはなにを ――― 2、戦略に関わる領域 ――― …