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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

つながり、信頼

レビュー ソーシャルメディアの生態系 を読んで

私たちは西洋を起源とする人間中心の世界認識になじんでいるので、それから脱するのは非常に難しい。 社会も個々人の人間を活かす媒体としての社会であって、逆ではないと思い込んでいる。そうした思考はあまりに強固で当然視されるため、そもそもそれに疑問…

ブックレビュー アナログの逆襲 デイビッド・サックス著 を読んで

アナログは死んだのか、それは無用の長物に成り下がったのか。 本書ではアナログの復活を通じて、アナログでなければならない必然性に光を当てていく。 取り上げられるものは、レコード、紙、フィルム、ボードゲーム、プリント、リアル店舗と多岐にわたり、…

能動的につながるとは。そもそもつながりって何なのか

つながりとは便利な表現だ。なんだかそれだけで正当性を得た気になる。しかし、つながっていることと、それが実際問題、成果につながるかはイコールではない。 現代は否応なくつながってしまうことも多くなってきている。必ずしもつながりたくてつながってい…

わたしたちが求めてやまない『意味』とは、はたして何なのか?

われわれは自身の行動に意味(意義)を求めますが、それを独立独歩、個人的な問題だと考えるならば、矮小化しすぎかもしれません。 意味というのは、人によって重要性の異なる主観的なものだが、決定的な特質は、それが自分自身よりはもっと多くのものに関係…

レビュー:人口減少社会の未来学 内田樹編

オムニバスなので、得心できるものもそうでないものもいろいろだが、そうした点も含め、事実を立体視するのには必要な迂遠なのだろう。 個人的に印象に残った点は、市場化と有縁化は同列に扱えないという点だ。方や経済合理性を前面に、物事を精緻化していく…

グローバルが積み残してしまうもの、スケールとは異なる視点

規模の経済性、グローバル化の進展、さも大きいことは良いことだといわんばかりの状況ではある。しかし、人間の視野は有限だ。スケールを追えば、その分犠牲になることも多くなる。

単に満たすのではない解法

かつてのラッダイト運動の現代版が人工知能への危機感なのかもしれない。単に充足させればいい作業はAIに置き換えられるというわけだ。さあどうするか?この流れを止められるのか? そもそも充足させるという定型的発想から逃れられないうちは、時の流れに翻…

見えないからこそ意味のあるもの

つながりの意義はなんとなく了解されているものの、いまいちつかみづらい。それはなんとも見えないことに起因する。かといって無下に扱われるかといえば、そんなこともない。われわれはつながりの欠如にある種の恐怖感を覚える。根無し草ともいわれるように…

錯覚としてのコミュニケーション

分かり合えないにもかかわらず、それでも分かりたい、分かろうとする矛盾がコミュニケーションにはある。 その意味では、コミュニケーションをコントロールすることはできないと真摯に捉えるべきかもしれない。できることはさも通じているかの如くキャッチボ…

良いもの=売れるなんて単純なものではない

良いものさえ作れば売れるとはよく耳にする言い回しではあるものの、それはほんとうか。 もちろん、単一指標に近い(ほかの基準がない)時代にあっては、必然的に良ければ売れるというわかりやすい図式があったかもしれない。しかし、それこそ「良さ」が千差…

対話ありきで考えることで見えてくるもの

どんなに客観的にあろうとしても、自己規律には本来的に見えない部分がある。自分で自分を見ることの難しさだ。 逆に考えるならば、自分は自分だけで存立しうるのかと問いかければ、おのずと答えが見えてくる。他者や組織、社会といった写し鏡があってこその…

おもてなしはまさに表無しかもしれない

おもてなしが一時期ブームになり、それがさも日本らしさであるかのように混同されているけれども、本当にそれでいいのか、一度立ち止まって考える必要があるだろう。 オリンピックをはじめとして、人はどうしても体裁から入る傾向にある。今の東京に相応しい…

機械が媒介する人間関係も悪くない?

機械化というと、人間性の欠如した、冷徹なイメージがあるかもしれない。しかし、人間同士のぶつかり合いが永遠の社会課題だとするならば、そのバッファーとして機械を噛ませることは悪くない筋だといえる。 要は感情をスポイルしてしまうのではなく、感情促…

手前みそよりもっと欲張りに

貪欲さというと、自分事ばかりと受け取られがちであるが、どうせならもっと欲張りに、自分の枠内だけでなく、自分の枠外をも巻き込んでいくぐらい欲張りであっていい。 社会とは個々人があえて自己の外に張り出してくるもの同士のぶつかり合いなのだから。 …

潜在領域としてのおもてなし

おもてなしがさも差別化要因であるかのように取り上げられる昨今ではあるが、はたして本当にその位置づけでいいのか。 サービスには顕在化要因と潜在化要因がある。積極的にウリとして打ち出す顕在因子に対して、あくまで黒子として従の役割を果たすのが潜在…

惰性のつながりと能動のつながり

関係性を生かすのと、関係性に振り回されるのは違う。 とかくつながりやすくなった現代においては、つながりを能動的に取捨選択できるかどうかが問われている。 放っておいても否応なくつながってしまう昨今だからこそ、意思を持って安易なつながりを除去し…

経済一辺倒の反動

金銭的価値が幅を利かせることで、われわれは考える力を失ってきたのかもしれない。もちろん経済効率によって得られるものを無為だと退けるわけではないが、それだけになってしまうと視野が相当に狭められてしまう。 値段がない=価値がないのではなく、値段…

使えるものは何でも使い尽くせているか

確立してしまった自分のスタイルを崩すことはほんとうに難しい。フラットなつもりでいても、自分自身の撒いた罠にいつも片足を取られていると思ったほうがいいだろう。 単に利用するのと、利用し尽くすのでは、取り組みの深さが違う。利用し、利用されること…

思考の編集

紡ぐーかけ合わせて一つのものに纏め上げていく アイデアや発想はもともと断片的なものであり、それを形にしていくということは、地道な積み重ねとして個々の気づきを織り上げていく作業とも言い換えられる。 意外性というと周囲とは不連続の独立したものと…

発想を飛ばす一つの着眼点

経済効果が測れないとはいえ、少なくとも企業イメージや社会的役割に資するという意味で無駄ではない。とかく販売を増やすにはという一本調子の思考に囚われやすいところを、無機的な自販機から有機的なコミュニティ存在に進化させる点が面白い。そこに次な…

情報化はつながりの質を変えるのか

ネットワーク、つながりの閾値は下がったが、相手のある関係性は、単純に生産性だけで処理する考え方は通用しない。そもそも効率や生産性は発信側、作り手の論理だからだ。 相手がどう受け止めるか、そこに温度感のようなものがあるからこそ、現場という立ち…

そこにフィット感はあるか

物事が普及し、広く用いられるということは、それがその社会にとって求められている、フィット感があるということに尽きる。それは進んでいるとか遅れているとか、効率がいいとか悪いとか、そんな単純な基準で割り切れるものではない。 社会生活のパターンと…

端的な指標はわかりやすい分消えやすい

変化が激しいとかまびすしく叫ばれている現代では、どうしても目先の得やすい指標に飛びつきたくなる。もちろん、達成度を測る目安は必要ではあろうが、得やすいものは失いやすいし、得難いものはそれゆえ持続性にもつながる。ほんとうに意味あるものは何な…

集権化 vs 分散化

古臭い中央集権化に対するアンチテーゼとしての分散化。しかし、分散化は正義なのか?分散化も方法を間違えれば単なるタコ壺化に堕する危険もある。 オープンかクローズか、グローバルか自国ファーストか、とかく二分法で白黒つけたがるし、それがさも論理的…

断片化と連携化

物事をモノとして物象化して切り分けるのか、それとも継続的に継起し続ける振る舞いという意味で動態化して捉えるのか、この違いは大きい。 人がものを買うのは「欲しい、あるいは必要だから」という考えは、部分的にしか正しくない――と言うのは、ベストセラ…

多様性の意味合いが変わってきた

完全なる同質性や完全なる異質性というものは幻想なのかもしれません。 二分論ではわかりやすさ優先で、同質か異質かを対置しますが、現実には共通項と差異が混在しながらそれぞれの特徴が構成されるといっていいでしょう。仮にまったく接点のないもの同士で…

「営業」という表現はもはや時代遅れのもの

営業というと売り込むというイメージが強い表現ですが、現代の双方向性の世界では、一方的な営業というスタイルは時代遅れと言っていいかと思います。 今日の優れた営業は、顧客が目標を達成するために必要なことを気づかせ、それに応える。 優秀な営業担当…

都市というスケールはビジネスには不向きなのか

ものごとには外面と内面がありますが、時として外面に惑わされて本質を見失うことがあります。 建築主導の都市刷新の愚行を見れば、都市というのは建物ではないことがわかる。都市とはその人々なのだ。 本書の中心的な主題は、都市が人類の強みを拡大すると…

グローバル化において「つながりやすさ」はどんな働きをするのか

グローバル化とローカル化は一見背反する事象ですが、コインの表裏の関係のごとく、切っても切れない関係にあるようです。一般には、前者が均質化を推し進めるのに対し、後者が局所化を際立たせるものです。テクスチャーとしてみれば、一枚岩なのか、まだら…

イノベーション幻想の先に何を見るのか

私見ですが、そろそろイノベーションという表現から卒業すべき頃合いではないかと考えています。なぜなら、イノベーションという表現が乱暴に使われてきた結果、「何となく現状を打破してくれそうな良さそうなもの」というふわふわした感覚が拭いきれないか…