something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

都市というスケールはビジネスには不向きなのか

ものごとには外面と内面がありますが、時として外面に惑わされて本質を見失うことがあります。

建築主導の都市刷新の愚行を見れば、都市というのは建物ではないことがわかる。都市とはその人々なのだ。 本書の中心的な主題は、都市が人類の強みを拡大するということだ。人類という社会的生物種の最大の能力は、お互いから学ぶ能力だ。そして対面の方が、深く十分に学べる。 都市は人類最高の発明である エドワード・グレイザー著

都市と言われた時、一般にはビル群をはじめとするハードか、ハードに付随した物流、情報といったソフトをイメージすることが多いかもしれません。

もちろんそれでも間違いではありませんが、都市は人々であるというグレイザーの直言は一考に値するものです。

都市の問題と言えば、企業ではなく公共、行政的課題として捉えられる傾向にあります。しかし、それをビジネスを含む『場』ないし『顧客』そのものとして理解するならば、スケールの大きすぎる問題であっても看過できないはずです。

つまり、都市の外面に振り回されることなく、都市という現場で営まれる人々の交差という内実に目を向ける必要があります。都市にまつわる事象は、人々の生活スタイルの縮図でもあり、課題を認識するという意味では、視野を広げ俯瞰でものごとを眺めることが有効です。

都市というグロスの理解は、どうしても他人事といいますか、顔の見えないせいもあって、距離を置いて捉えられる傾向があります。しかし、自らもその一端を担う者として、都市という舞台をビジネス課題の写し鏡として見なおしてみると、より生命体に近い躍動プロセスから学ぶことは多そうです。