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変える戦略、変えない戦略

目につきやすいという意味で、一般的には「変化」に注目が集まりますが、変化とは安定という対比軸があって初めてクローズアップされるものです。もし仮に変化ばかりであれば、それが常態であって、特段変化というものを意識することはないでしょう。

このように、ものごとには『動』の局面と『静』の局面が存在します。両者をバランスよく(同時並行的に)兼ね備えることが、動を動たらしめ、静を静たらしめるのです。

環境変化が緩やかに起こるという前提での「山登りの戦略思考」では現実に対処することができず、刻々変化する環境に瞬時に対処していく「波乗りの戦略思考」へと、戦略思考のパラダイムを変えなければならないのです。  ある経営環境において策定された「戦略」というものを、その経営環境の刻々の変化を感じ取り、その変化に応じて、瞬時に修正していく能力、いわば「反射神経」とでも呼ぶべき能力です。 なぜ、21世紀の戦略は、「アート」になっていくのか? 日経ビジネスオンライン

上記引用にもある通り、現在の自身の立ち位置が固定された状態であるのと、流動的な状態にあるのでは、身の処し方に大きな違いが出てきます。よく事実に立脚するといった言い回しがなされますが、こうした考え方の背景として、現在の事象を固定的に(不変のもの)として捉えたがる傾向があります。

不変信仰と言いますか、確固たる完成形として精緻を極めたもの(こと)に最大の評価を与えたくなる心理はわからなくもないですが、前提条件が変わりうる、もしくは変わることが当然であるという環境下においては、そうした完ぺきを求める剛たる姿勢はマイナスでしかありません。

初志貫徹変えないことを単純に評価するよりも、上手に事態の推移をつかみ、適宜「変えていくこと」が評価される時代です。手のひらを返すというと悪い印象の言い回しですが、うまく手のひらを返す術を身につけていかなければ、現実に翻弄されるだけだということも肝に銘じておくべきです。