2018-01-01から1年間の記事一覧
モノづくりが岐路に立たされたことで、コトづくりがもてはやされる。今や経験消費だ、感動追求だといわれるが、はたしてそれらの見立てに盲点はないのか。
良い本とはどんなものだろうか。 レビューを書いてみると、レビューできる本と、レビューできない本が出てくる。なぜできないのか。それはためになるとかならないとか、内容が濃いとか薄いとかというのとは違う。要するに具体的に書くことが見出せないものが…
本書は現代における経営の欠陥は美意識の欠如に起因するものとして、ビジネスにおけるアートの意味合いを説く。 時代の転換点にあって、20世紀型の成長モデルと連動した分析的、科学的アプローチには限界が見えてきた。いわゆる「正解」を追い求めるロジック…
最近はやりの小説仕立て、対話形式で読める経済書といっていいだろう。その意味では読みやすいので、早ければ1日、2日で読み終えられる分量である。 われわれの不安の元凶は何か、どこにあるのかが本書の主題だ。 端的にいえば、これまでの資本主義経済シス…
とかく日本人はマネタイズを下賤なものと考えがちであるので、どうしてもそうした発想は前面に出てくることがない。だから、良いものさえ作れば、良いサービスさえすれば、おのずと結果はついてくるといった美徳がもてはやされる傾向にあるのだろう。 だから…
変化の必要性はしばしば問われているものの、実際、変化とは捉えどころがない部分もある。本書は心理学的臨床から敷衍して、変化の本質に迫ろうとするアプローチである。 大きな論点としては、変化といっても単一ではないということにある。 わかりにくいか…
小売りは物を売るのではなく、体験を売るべきだ。今やよく聞かれる論調であり、本書の主旨もその点で共通している。 小売というモデルが、古き良き20世紀的な、生活の欠乏をモノで満たすことが第一義であった時代の名残だとすれば、もはや環境が小売というス…
マツダのデザイナーによる、デザイン畑、メーカー畑からのデザイン論である。マツダの「魂動デザイン」を通じて、いかにデザインを全社的に敷衍し、息づかせるかという意味で、組織論でもあり、人材活用論でもある。
人類の歴史という視点からすると、われわれの日常の認識はいささか短絡といってもやぶさかではないだろう。 最適といったとき、私たちはどうしても自分の視点で、自分中心に環境と最もフィットした理想的状態を思い描きがちである。もちろん、現時点で取り急…
今や定番のブルー・オーシャン戦略の新刊である。シフトという題目のとおり、ブルー・オーシャン戦略を現場に落とし込んでいくためのツールの活用、ハウツー版といっていいかもしれない。ブルー・オーシャンの理論そのものを押さえるなら前著のほうが体系が…
人は一般に押しつけを嫌うものです。もちろん従属がやむを得ないケースもあるでしょうし、ある意味で賢い対処法なのかもしれません。しかし、それは生産的だといえるでしょうか。少なくとも積極的に追及したい方法ではないはずです。 これは指示する側にも同…
知性の基本は、知識の習得以上に行動力です。 経営課題として、不確実性の増大や変化スピードの速さといったことがいわれますが、これは新たな課題と言えるのでしょうか。実際、いつの時代にも、こうした指摘はなされてきましたし、未来を見通すことの難しさ…
いつの時代にも、不確実性は忌避すべき問題として取り上げられます。そもそも「不」確実といった時点で、すでにネガティブな意味合いが認められます。それは外界から襲ってくる抗い得ない大きな圧力であり、われわれはその状況を甘んじて受け入れざるをえな…
つながりとは便利な表現だ。なんだかそれだけで正当性を得た気になる。しかし、つながっていることと、それが実際問題、成果につながるかはイコールではない。 現代は否応なくつながってしまうことも多くなってきている。必ずしもつながりたくてつながってい…
どこかのCMではないけれども、ほんとうに欲しいものはプライスレスなのかもしれない。というよりも、プライスという一基準で単純に判断していいのかが問われているともいえる。 なぜ今、判断の基準が揺らぐのか。 これまではそこまでシビアに考えなくても、…
われわれは自身の行動に意味(意義)を求めますが、それを独立独歩、個人的な問題だと考えるならば、矮小化しすぎかもしれません。 意味というのは、人によって重要性の異なる主観的なものだが、決定的な特質は、それが自分自身よりはもっと多くのものに関係…
マーケット・インか、プロダクト・アウトか。こういうと、とかくいずれか一方、二者択一の議論になりやすい。もちろん、状況を分かりやすく単純化できればそれに越したことはない。しかし実際には、それほど単純に割り切れるものは少ない。
「ストーリー」があると言えば、整った帰結で、起承転結をはじめとする筋書きがあり、全体としての一貫性がある、といったイメージを思い浮かべるだろう。 では、論旨を伝えるためのあらゆる形式がストーリーと捉えられるのか。また、ストーリーを外れたとし…
「自己」や「自身」という言葉は、至極当たり前のように使われていますが、ほんとうにそうでしょうか。一般的な対象物であれば、それを「それ」として明確に指し示すことができますが、生物としての人間個体以上に、自分をつかさどるものは思いのほか自分の…
多様性がある=不確実である、という意味で、社会環境と不確実性は切り離すことができません。しかし、不確実にはネガティブな印象が付きまとっているのも事実で、われわれは本能的にそれを回避しようとする傾向があります。
結局ダイバーシティなどお題目に過ぎないのか。 われわれは自然と受け入れられる者同士で凝り固まる傾向がある。異質さは本質的に脅威なのだ。だとすれば、なぜそれを求めなければならないか。 同質でありたいという願望と、異質さが根源的に無くならないと…
一般に生産性は量目で測られるので、そればかりに囚われると、単に数値化しやすい部分だけをみて意思決定をする事態がまま起こりうる。 例えば、時間スケールは一定の刻みなので、差異は時間内の密度で測られることになるが、詰め込みすぎれば息が詰まる。機…
オムニバスなので、得心できるものもそうでないものもいろいろだが、そうした点も含め、事実を立体視するのには必要な迂遠なのだろう。 個人的に印象に残った点は、市場化と有縁化は同列に扱えないという点だ。方や経済合理性を前面に、物事を精緻化していく…
情報に媒介された空間の広がりによって、私たちが関与できる可能性は一段と拡大してくる。容易に「装う」ことで、さまざまな表現が可能になる一方、どこかに芯を設けなければ、確たる立ち位置を示すことは難しくなる。 その意味で、顔が見えるかどうかが、基…
西洋起源の概念はおおむねカタカナ表記で済まされることが多いですが、その分大づかみなところがあり、わかったような気になって、あいまいにお茶を濁すというデメリットがあります。 リーダーシップやマネジメントもそういったワードの代表格です。仮にリー…
ものごとのベースとなるしくみが変わったにもかかわらず、私たちの判断基準は古い慣習に囚われたまま抜け出せない。もしくは、囚われていること自体にすら気づけない。こうしたことは決して珍しくない。
ソーシャルとは、まさにわれわれ自身と社会との積極関与の法則と言えます。 近年のソーシャルツールの普及・流行から、利用者目線の情報を、広く大量に、そして迅速に収集することがソーシャルであるかのように捉えられていますが、果たしてそれで十分といえ…
主観と客観の二項対比というロジックは、あまりに深く刷り込まれているため、よほど意識しない限り、その呪縛から逃れることは難しい。もちろん、素朴な自然科学に限っての話ならば、とくに支障はないのだろう。ただし、ことが人間行動にかかる領域の話とな…
一般に技術が魔法のように問題を解決し、明るい未来をもたらすかのような楽観論が現代の技術信奉として多々見受けられるが、本書ではそんな簡単に物事は進んでいかない、技術導入の失敗例からなぜ技術がつまずくのかを明らかにしていく。
温暖化の問題と言えば、環境領域の問題だとカテゴリー付けされるのが一般的だが、問題の根本を紐解いていくと、資本主義をはじめとする経済やわれわれの価値観そのものに原因があることに本書は気づかせてくれる。 市場原理主義、グローバル経済、新自由主義…