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あなたはこれからも従属し続けるのか?

人は一般に押しつけを嫌うものです。もちろん従属がやむを得ないケースもあるでしょうし、ある意味で賢い対処法なのかもしれません。しかし、それは生産的だといえるでしょうか。少なくとも積極的に追及したい方法ではないはずです。

これは指示する側にも同様に言えることです。命じることで迅速な処理は可能でしょうが、上下関係にものをいわせる一方的な働きかけは、同時にネガティブな感情も引き寄せてしまうものです。

ひとりの人間が個人として他の人間個人に命令を与えるべきでなく、双方ともその特定の状況から命令を取り出すことに同意すべきである。もし命令が単に特定 の状況の一部分になっておれば、ある者が命令を出し、ある者がその命令を受けるといった問題は起こらないわけである。つまり、双方ともその状況自体によっ て与えられる命令を受容する。雇主は状況によって与えられる命令を受容するし、被用者も状況によって与えられる命令を受容する。
組織行動の原理 動態的管理 M・P・フォレット

ここでのカギは、目的の共有と理解に他なりません。一緒になって現実に向き合うのと、与えられた現実に唯唯諾諾と対処するのとでは雲泥の違いです。

組織行動にとって命令系統は生命線であり、今更問い直す必要のないほどあたり前のものと捉えられていることでしょう。しかし、旧態然の命令が引き起こす波及効果に立ち返ってみたとき、ヒエラルキーに盲目的に従属するのでは、あまりにも安易な適応です。

命令を与えるという発想に限界があるといってもいいかもしれません。命令とは誰かから指示されるものというよりも、自ら見出していくもの、もしくは自己規律と理解できないでしょうか。もちろん、組織メンバー間での共通認識としてそれを確立し、また行使していく意味では、複数の当事者意識の交合も含意されます。

命令とは自己ないし組織を鼓舞する、肯定的なサインと解すべき働きが期待されているもののはずです。