something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

「営業」という表現はもはや時代遅れのもの

営業というと売り込むというイメージが強い表現ですが、現代の双方向性の世界では、一方的な営業というスタイルは時代遅れと言っていいかと思います。

今日の優れた営業は、顧客が目標を達成するために必要なことを気づかせ、それに応える。 優秀な営業担当者がどうするかというと、顧客が果たそうとしている目的について話し合い、自社の商品やサービスでそのニーズを満たす解決策を提案する。最 も優れた営業担当者は的を射た質問を顧客に投げかけ、顧客自身でさえ気づいていない問題やチャンスを明らかにしてみせる。 営業とサービスはきわめて似たもので、前者は能動的、後者は受動的なだけである。多少の違いはあるものの、優れたサービスも優れた営業も、目指すところは顧客の抱える問題の解決か、改善方法を見つけることなのだ。 営業への苦手意識を克服するには ダイヤモンドオンライン

かつては顧客とは対岸の存在であって、売り手と買い手が対極的に位置付けられていました。いまだにサービスという捉え方においても、そういった旧式の概念が横行しています。

しかし、現代において中心の課題がモノから体験へと移り変わってきていることにも顕著なように、提供してはいおしまいという物販的思考では、企業の成長にも限りがあります。言い古された表現かもしれませんが、モノを介して接触できたことは着地点ではなく、出発点だということです。そこからできる限り持続的に関係を維持し、発展させることが問われているのです。

サポートやアフターケアというと、面倒な業務であって、できることなら避けたいというのがモノ中心世界での考え方でした。そもそもいまだにモノとサービスといった分類をしていること自体、こうした枠組みから抜け出せないことの証左です。言い換えるならば、コミュニケーションを通じて結果を出すというよりも、そのコミュニケーション自体がビジネスの核心になったということかもしれません。

相手の気持ちになるとか、相手の立場に立ってという意味は、両者が同岸に立っていることを意味します。共通の立ち位置を築き、目線をシンクロさせることは、課題を深掘りするために欠かせない視点です。同岸にあっては提供などという考え方は成立しないはずです。「~してあげる」といった表現が少なからず透けて見えるスタンスは相応に不遜な考え方です。それを乗り越えてはじめて真の課題にアクセスする資格が得られる、こう考えると共感、共有など、『共』というコンセプトのむずかしさが改めて理解できます。