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リスクを自ら求めるべき理由とは

リスクとは御しうる中で最大の課題と言い換えることができるかもしれません。いずれにしても「課題」なわけですから、取り組むという選択肢はあっても、逃げ出すという選択肢はないはずです。

代わりの利かない、かけがえのない、非常に価値の高いものだから、それを失うことがリスクになるのです。 企業は差別化して競争力を付けたいと考えます。けれども、差別化とは、ほかの企業にないものを自分の手元に置くこと。それが人なのか、物なのか、技術なの かは分かりません。いずれにしてもその代わりの利かない大事な価値のあるものが生み出せなくなったとしたら大きな損害です。 リスクは回避か、それともあえて保有か 日経ビジネスオンライン

逆説的ではありますが、困難だからこそそれに取り組むに足る意義が見出せるということです。「リスクを避ける」という表現が安易に用いられますが、こうした言い回しが誤解を生むのかもしれません。

リスクとは本来、コントロール可能なもの、努力して対処すべきものを指す表現です。ですから、言葉のまま単純にリスクを避けるとなると、困難な問題からしっぽを巻いて逃げだすことになってしまいます。

リスクに対処するということは、困難な課題ではあるものの、立ち回り方を工夫することで、それに連動して生じる無用なマイナス面を最小限にとどめると理解すべきところです。

このように、リスクと成果は表裏一体の関係にあります。ですから、狙いとする目標に比例してリスクというハードルが上がることになります。と同時に、リスクはギャンブルではありませんから、無茶とは切り離して考えることも必要です。成果という果実の大きさに付随してリスクという影を伴うようなものですから、得るメリットと払うデメリットのバランスを勘案して意思決定を為すということです。

少なくとも無条件にリスクを避けるなどという選択肢はマネジメントには存在しません。その意味では、リスクを手なずけ、飼い馴らすことこそマネジメントに求められる立ち居振る舞いと解することもできます。