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良いもの=売れるなんて単純なものではない

良いものさえ作れば売れるとはよく耳にする言い回しではあるものの、それはほんとうか。

もちろん、単一指標に近い(ほかの基準がない)時代にあっては、必然的に良ければ売れるというわかりやすい図式があったかもしれない。しかし、それこそ「良さ」が千差万別に認識される時代にあっては、良いもの自体を定義することすら難しい。

また、皆がそれなりに良いものを目指していれば、その良さにはあまり意味がなくなってしまう。良いとは比較指標であることを考えれば当然の帰結ではある。

そう考えると、今の時代、単純に良さを追いかけるという発想自体がずれているのかもしれない。汎用的な意味での良さはもう通じないのだ。良い=売れるとの等式から卒業すべき時に来ている。

では何を追いかければよいのか。一つのヒントはリアリティにありそうだ。特にネット全盛のオンライン時代にあっては、よりリアリティが希少性を増す。これは自分事と言い換えてもいい。要は対象の近しさだ。良い悪いよりも「近い」かどうかのほうがより指標として明確だろう。

漠然と全方位的な良さを求めるよりは、距離感を縮めることを一つの契機としてつくりこんでいくことで、結果的に良きものと認められるほうが正攻法と言えるだろう。

「面白いものを書くだけじゃダメなんだ。どうやれば売れるか、どうやって話題にするかということまで作家自身も考えないといけないんだ」と気づいたんです。

情報源: 「小説が消滅するかも」17万部作家が、いま抱いている危惧(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)