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八方美人は刺さらない

希少性の時代から潤沢性の時代へと移り変わったことは、アプローチも相応に異なるという意味である。

需要と供給、その均衡や最大化というイメージは、旧来のグロスでのものの捉え方を引きずっている。予定調和的というか、線形思考というか。では、こうした前提自体を突き崩していくにはどうするか。どう満たすかという前提条件から、満たされた状況をどう打ち消すかという前提への転換だ。足し算思考から引き算思考へ、180度反転と言ってもいい。

すでに満ちているものをさらに満たそうとするのは、非常にお粗末な発想だ。無駄ではないかもしれないが、労に比して得るものは少ない。一方で、フラットな塊から掘り出す作業は、やり方次第で凹凸を際立たせ、引っ掛かりをつくることができる。文字通り刺さるように。

色を際立たせるには、ある程度絞り込む必要がある。全部の色を混ぜ合わせてしまえば灰色になるのと対照的だ。「らしさ」とは優位性であり、同時に劣位性でもある。この両極的特性は鏡像なので逃れられないジレンマだ。いいとこどりをしようとするとぼやけたあいまいなものに成り下がる。故に捨て上手が個性を引き立てる源となる。

今の時代、総合的な、マスを狙うってすごく難しくなっていると思うんですよ。“みんな”を相手にしていくというのは、すごく迷うし、戦略を立てるといっても、1000万人を相手に何かするというのは非常に難しい。 逆に、人の興味がすごく細分化していますよね。「自分がここで勝負したい」と思う部分もすごく細分化してると思うんです。

情報源: NHK・Eテレが「攻めてる」と言われるようになった理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン