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今のICTにブレーキはあるのか?

ブレーキのない乗り物は、加速するときには問題が見えないが、制御できないという意味で大きな危険性をはらんでいる。

自分たちに大きな優位性をもたらしたネットワークの効率性そのものが、時間とともに、自らの失敗を招くものとなるのだ。 「ネットワークが大きな価値を生み出すためには、そこに参加する膨大な数の人々が必要だ。しかし、その人々を獲得した暁に報酬が支払われるのは、ほんの一握りの人だけだ。そして最終的な結果として残るのは、富の集中と、経済全般の限定的成長ということになる」 ジョー・ノセラ---「シリコンバレーはわれわれを滅ぼすか?」 現代ビジネス

ICTの発展は、われわれを自由に解放したという側面は否めないものの、それは同時に効率を先鋭化させたものとなる。もちろんパイの広がりが自浄作用的に一定の調和を見出すという部分もあるが、人間味あふれるケアのようなセンシティブな調整を期待するのは難しい。

恣意的なコントロールをすべて悪とみなす風潮もこれに拍車をかけるが、まったくの状況任せがほんとうの自由なのだろうか。むしろ、積極的に核たるグランドデザインを描くことと、それに合わせ個々人が自由を追求することは矛盾なく両立しうるものと思われる。