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グローバル化において「つながりやすさ」はどんな働きをするのか

グローバル化とローカル化は一見背反する事象ですが、コインの表裏の関係のごとく、切っても切れない関係にあるようです。一般には、前者が均質化を推し進めるのに対し、後者が局所化を際立たせるものです。テクスチャーとしてみれば、一枚岩なのか、まだら模様なのか、といった差異が明らかです。

エントロピーの増大という自然のメカニズムからすると、時間経過とともに一定の平衡状態に落ち着くことが示唆されますが、まだら状が鮮明になるとはそれに反する動きです。一方でネットワークの考え方に照らしてみれば、規模の拡大とは、いくつかの主だったハブに集約されていくことでより効率的に実現されるわけで、違和感のないものです。

これら二つの特色に照らしてみれば、世の中の組成は、個人という粒子の集まりというよりも、人間関係というつながりの網目と捉える事が理にかなっているようです。卵が先か、ニワトリが先かという問題と類比されますが、人間とは「間」あってのものという解釈に近いかもしれません。

逆に、地理的、経済的な距離が縮まるがゆえに、文化的、制度的な距離を強く感じることすらあるでしょう。より頻繁に異国を訪れるがゆえに、より密度の高い交流を現地の人々とできるがゆえに、お互いの違い、国と国との差異を、逆に強く感じる社会となりつつあります。 すなわち、グローバル化が進むがゆえに、優位性を持つ都市や地域に消費と生産が集中するという逆説的な流れが発生しています。人、モノ、お金がより自由に世界中を移動することにより、世界各所での集積が起きているのは事実です。 なぜ「本当はグローバル化など進んでいない」と言われるのか 日経ビジネスオンライン

選択と集中という、これまた企業経営においてお決まりのフレーズですが、グローバル社会とは、自ずとこうしたメカニズムが発揮されるものと解釈することもできます。個々人の意思決定はそれこそ千差万別ですが、それがグロスに集約されると、強弱による偏在パターンが浮き彫りになってくるということです。

つながりを母体とするグローバル化は、単純なフラット化というよりも、選択と集中という拡縮運動によって紡ぎだされる流動的プロセスとして位置づけられると解釈していいでしょう。