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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

あなたにとっての顧客はどこに位置付けられますか

対話は今も昔もビジネスの基本ですが、そもそも提供者と受容者という区分け自体が時代にそぐわなくなってきているのかもしれません。その意味で「対話」という形態も進化してきていますし、進化させていかなければならないということでしょう。

「ユーザーの声を聞く」「ユーザーからフィードバックを得る」だけでは(これらも時には必要であるが)、現在・未来のユーザーの心を動かすことは難しい。ユーザーをブランドのストーリーに「巻き込み」、ユーザーにブランドのストーリーを「語り継いでもらう」ためには、「ユーザーをブランディング活動に組み込む」ことが必要だ。 ブランドは流動化し、生命体へ――「ブランディング3.0」時代に向けた日本ブランド変革の本質 ダイヤモンドオンライン

顧客の定義自体、時代とともにどんどん拡張されています。物流のように画一化された一方向の流れであれば、適材適所という正解に落とし込んでいくことも可能です。しかし、欲求というものはどんどん深くなっていきます。単に得られたかどうかでは、満足感は限定的です。

お仕着せの状態とは、与えられるのを待つという受動的立場に留まるものです。より高次の充足感を得るためには、自分がそこに主体的に関わっており、その結果として自ら選びとった成果であるという、能動感が大きく影響してきます。

そこまでコミットするとなると実行のハードルが高くなるとの危惧があるかもしれませんが、相手をそこまで引き込んでくるということは、答えも自ずと取り込んでくることができるはずです。共通の目的に向かってプロセスをシェアすると考えるならば、むしろ効率的なアプローチですらあるはずです。

顧客を対岸に見据えるのか、それとも同岸に並んで共に対岸を眺めるのか、この違いは決定的です。すでに顧客の役割もビジネスプロセスの一翼を為すものとして織り込んでこなければならない時代です。そう考えたとき、昔からの「顧客」という位置づけそのものが古いと感じられることでしょう。