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いま一度CSR、CSVを見つめ直す

CSRCSVという表現が多用されるようになってずいぶん経ちますが、そもそもどうしてそういった論点にスポットが当たるようになったのでしょうか。

本来の意味でいうと、「CSRとは企業活動そのもの」と言っても過言ではない。CSRは、企業を取り巻く顧客や従業員といった、ステークホルダーからの期待やニーズに答えるために、企業戦略として対応していくものなのである。 欧州委員会が2011年10月に発行した「CSRに関する欧州連合新戦略」によれば、CSRとは、「企業の社会への影響に対する責任」と定義されている。具体的には「株主、広くはそのほかステークホルダーと社会の間での共通価値の創造(CSV)の最大化」と、「企業の潜在的悪影響の特定、防止、軽減」の2つを推進するとしている。 「CSR=社会貢献」という考えは、時代遅れ 東洋経済オンライン

振り返ってみれば、CSRにしてもCSVにしても、特段新しいことを表現しているわけではありません。むしろ満たされて当然の要件が十分に配慮されていない現実に対処するために、意図的に強調して捉え直されるようになったと考えるのが妥当です。

当事者目線とは、リアリティを持つ点で有用な視点ですが、時として現実に没入しすぎて周りが見えていないといったことに陥りがちです。それを一段高い視点から俯瞰して捉えなおすのが、CSRCSVといってもいいでしょう。

つまり、CSRCSVはビジネスの付加価値や副次的側面なのではなく、立体的にものごとを眺める際の、異なる視座ということになります。言い古された表現ではありますが、社会から切り離された企業もビジネスも存在しない(できない)ということに立ち返って、ビジネスの本筋にCSRならびにCSVは位置付けるべきものです。