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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

ビジネスにコミットするということ

あいまいな言い方かもしれませんが、ビジネスに対する距離感というものが、その成否における大きな判断材料になります。

科学的、客観的分析においては、対象に向かって一定の距離を保つことが推奨されます。第三者的目線と言い換えてもいいかもしれません。一方でビジネスを推進するという観点からすると、冷静に距離を置くということが必ずしも最優先とは限らないものです。

対象に没入することなく、ただ外から観察している。こうしたやり方で生まれたイノベーションは多くの場合、失速してしまう。 義憤を持つ者は、客体との距離がない。一体化している。「これはおかしい。何とかしなければいけない。誰もやらないのであれば、自分がやるしかない」。そこで決意して、それから技術や人脈やノウハウや、何もかもを必死になって組み合せて解決を試みる。 義憤は探して持つものではなく、否応なく、持ってしまうもの。一方のイノベーションは起こそうと思って起こすものではなく、やむにやまれず、起こしてしまうものだ。 なぜ成功する起業家はイノベーションを起こせるのか ダイヤモンドオンライン

パッションや熱意というと、定性的で測りずらいもの、不安定で不確実なものとみられがちですが、人間行動である以上、すべてが明確に割り切れるなどとは考えないほうが妥当かもしれません。

ここで問われている力には、性質の違う二つの局面があります。飛行機でいえば、離陸時の加速と、巡航時の定速のようなものです。パワー主導とバランス主導と言い換えてもいいでしょう。ビジネスにおいてどちらも欠かすことのできないものですが、二者択一するものではありません。

理路整然と分別できないがゆえに、一見あいまいなものに対しても、相応の役割があることを評価する必要があります。ウェットであるがゆえに力強さを生み出せるのが面白い点でもあります。