something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

購買を対話にまで昇華する

いつの時代も、顧客やそのニーズを軽視することはできません。しかしながら、顧客に合わせるという受け身のニュアンスを含んだ対応では、それなりの満足は得られるとしても、突き抜けた満足を見出すには至らないでしょう。

モノが重要なのか、それともモノを媒介として見出される世界観が重要なのか、いま一度じっくり考えなおしてみることも必要です。

お客様に考えてもらうプロダクトは、「お客様第一」とは逆の思考で、不親切なプロダクトといえるかもしれません。しかし、見方を変えれば、“短期的な”「お客様第一」を徹底することにより、消費者が考える余地を失ってしまったことに対するアンチテーゼであるとも言えます。 社会にない商品やデザインを作るのは、それだけリスクも伴うでしょう。しかし、そういった商品が出てこなければ、私たち「買い手」のモノを見る目も成長しません。私たちが、「買い手」としてモノを使う、モノを見る目を養い、それを伝えていくことで、さらにデザイナーがそれを上回る「考える商品」を作る。 「売り手」も「買い手」も、考え合って、モノの価値を高めていく。 「考える」を買う。 東洋経済オンライン

われわれの消費に対する嗜好性も年々変化してきています。とくにある程度モノとしての物的側面が満たされた今、体験をはじめとするモノ+αの部分に重心が移ってきています。

自分にとって本当に意味のあるものという観点からすれば、単にモノに落とし込まれる部分よりも、モノを媒介に、むしろモノを飛び越えて創出される対話が、有意性の核心になってくる可能性も高いでしょう。

もちろん従来通り、端的に用を為すために、モノで満たされる場面も多く存在しますが、新たな気づきを追い求め、自らが主役として振舞うことでの納得感を生み出すためには、対話を通じた参画のプロセスに顧客側も積極的に関与できることがポイントになるでしょう。