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高等技術としての引き算

モノゴトを端的に表現することは非常に難しい。短ければいいというものではないし、小難しい単語でごまかせるものではない。

噛み砕くとはよく言われるけれども、とても厄介なプロセスである。前提として、きちんと自分自身で咀嚼できていなければ、どうにも噛み砕けないのだ。

数字上の無駄はわかりやすく削れるかもしれないが、思考の無駄はそもそも無駄を特定すること自体困難だ。その上、ただ棒引きするのではなく、咀嚼し消化して、その結果としてスリム化される。

一見簡単に見えるものにこそ、その背後に膨大な推敲のプロセスを経て、最後の最後まで残ったエッセンスの密度が投影されているとみるべきだろう。背景をどれだけ想像させるか、それが引き算の醍醐味かもしれない。

けれど大人は、知識を獲得し経験を積むことによって、むしろ目が曇ってくることがあります。素朴な子どものほうがその場の空気を読まないで本質を言い当てます。だからこそ、子ども向けに本を作ろうとしたらごまかしが利きません。つまらないとすぐにそっぽを向いてしまいますから。だから、いい児童書は、無駄をすべて削ぎ落としたうえで、丁寧に作ってあるのです。

情報源: 「はらぺこあおむし」で子供は宇宙万物を学ぶ | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準