製造業から脱皮できるか
いわゆる自動車メーカーが移動サービスプラットフォームへと脱皮しようとしている、これは時代のすう勢だ。
製造業は売り切りモデルで、販売後はあくまで付随的サポートの位置づけだ。一方のサービス業では、付随とみなされていたその後こそが主戦場であって、モノは単なるイントロダクション、入り口にすぎない。
これは21世紀のインフラ環境を見れば必然の流れであるものの、これまでの成功体験を持つ製造モデルからの脱却は容易ではない。もちろんこれは技術を軽視するという意味ではなく、さらなる技術の深化を要請する。
技術単体の完成度を問うのではなく、技術と社会、環境との応答がこれまで以上にダイレクトに、表舞台と位置づけられる。どちらかと言えば裏方であった技術者が前線に出て活躍することを求められるという点では、技術の定義、役割そのものを大きく転換することが不可避だ。
VW、ダイムラー、BMWの3社はいずれも、ビジネスモデルの改革を加速している。従来の「自動車開発・製造・販売」というハード主体のビジネスから、カーシェアリングサービスなどのプラットフォームサービスを総合的に手がけるモビリティ企業への転身を図っている。