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他者あってこそのわれわれの自由という発想

自由に発想するということがよく言われますが、自由=無制約という認識ではそれこそ無節操になりかねません。

自由の本質は、他人との関係を持たないことからくる自然状態の在り方をいうのではなく、人々との関係の充実にあるのである。われわれは、他の人と交わることによって自分の自由を削減するのではない。なぜなら、意思の交織をすること(the interweaving of willings)を通じて自由を発見し、生活のために必要なすべての能力を拡大しているからである。 新しい国家 民主的政治の解決としての集団組織論 M・P・フォレット著

組織行動は協働を原則としますが、使い方を誤ると、組織及び他者による制約と負の側面ばかりが強調されることも起こりえます。その意味で、フォレットの言う組織あっての自由、協働あっての自由という考え方は示唆に富んでいます。

自由とは最初から設定されている余地ではなくて、行動を通じて創出していくものであり、なおかつ、独りよりも他者と協働することで一層顕著に認識できるものということです。

こうして考えてくると、組織や企業を通じてどれだけ自由が拡張できているのか、それが実感できるかが一つのヒューマンな指標として明確に位置付けられると、ビジネスの質に直結すると考えられます。

フォレットの論考は百年も前のものではありますが、自由の創出装置としての協働こそ、古くて新しいテーマと再認識すべきときです。