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型とは制約なのか、それとも発展の契機なのか?

型への向き合い方には大きく分けて二つの方法があります。 ひとつには、型を身につけるという受けの作法、もうひとつには、型を超えるという攻めの作法。加えて、この二つは互いに背反するというよりも、コインの表裏の関係にあって、不可分のもの、相互に互いの存在を必要とする移し鏡のようなものかもしれません。

また、情報のスピード感が増し続けるなか、新しさの追及も貪欲に拡大し続けています。しかし、この場合の新しさとは「目新しさ」である場合も多く、必ずしもそれが核心的意味を示しているかというと、そうでない可能性も多分に含まれます。

最近、デザインとは「思考の型そのものである」と考えるようにしています。 しかも、その思考の型は決して特別なものではなく、むしろ、現代に生きる僕たちはデザインという思考の型以外で考えられなくなっている。僕はそう考えるようになりました。 デザインという思考の型から逃れる術があるのか? DESIGN IT! w/LOVE

デザインと私たちは安易に言っていますが、それが示す概念は相当に幅の広いものです。ですから、そこに込められた含意をよくよく見なおしてみないと、どうしても表層的なデザイン観に流されることになります。

その意味において、型という問題とどう向き合うのか、また新しさという性質をどう取り扱うのか、このあたりにデザイン理解の水準が反映されると考えられます。

私は、デザインとは戦略の上位概念として企業、組織の目的性の領域を束ねるもの、と捉えています。型にはめていく作用(剛)と、型を壊していく作用(柔)が並列的に用意されていてはじめて、型を活用した進化が導けるはずです。目的の芯を強くするという意味で、デザインが問われているのです。

こう考えてくると、型といってもそれは一般にイメージされる堅牢なものではなく、情況に応じて随時引き直されていく暫定境界との認識が近いかもしれません。 型を尊重すれど従属せず、これが型との適切な距離感といえるでしょう。

別の言い方をするならば、型には大きく二種類、 基本形と応用形があって、一般的には後者をデザインとみなす傾向が強いかもしれません。しかし、前者を抜きにしたデザインとは、どうしても断片的なものになりがちです。斬新さや新規性という目線は、後者に偏重した考え方といってもいいでしょう。

ゆえに、基本形としての型を今一度見直すこと、ここからマネジメント全般に対するデザインの役割が見えてくるはずです。