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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

2014-01-01から1年間の記事一覧

企業としてのしなやかさ

レジリエンス=しなやかさと捉えるならば、企業活動にとって何ら特殊なものではありません。現実に即応するというと何だか場当たり的な言い回しかもしれませんが、うまく応じるということは、そこに至る下地が予め培われている、それが『しなやかさ』の正体…

意思決定とはYesかNoかを単に線引きするだけでいいのか?

わたしたちはものごとを二元論で整理する方法になじんでいます。ありかなしか、白か黒か、効率的にものごとを進めていくには極めて効果的な方法ですが、一方で大事な観点を見落とす危険性もはらんでいます。 たしかに、単純明快で、スパッと割り切れる問題系…

対話から構想されるもの

「対」という概念には幅がありますが、それを二者間の競合姿勢と捉えると、勝つか負けるかといった攻撃的姿勢が強調されることになります。もちろん、厳しい生存競争を勝ち抜く上でのたくましさは望ましい姿勢ですが、ゼロサムゲームがすべてとは限りません…

伝わるの先に目指すもの

細かな違いですが、「伝える」とは意志的なものである一方、「伝わる」とは事実です。キャッチボールの関係性でいえば、伝え手志向に対する受け手志向の違いと言い換えることもできます。 「伝えた」といえば、それも事実ではないかといわれるかもしれません…

戦略的戦略ってなんだ?

戦略が一般的なビジネス用語として多用される現在ですが、あまりにも安易に戦略と名付けられることで、かえって混乱を招いている事態をよく見かけます。私たちがあたり前と考えていること、単純なことほど実は難しいものです。 戦略的○○といわれるとき、そこ…

解決が第一目的でいいのか

われわれは知を高邁なものとして、それを得ることで満足してしまいがちです。しかし知とは生かしてはじめて意味を成すものですから、手に入れただけではまだ何も充足していません。 折しも、時代は所有から行使へと、その主眼を移しつつあります。元来、物的…

ターゲットを3次元化する

デザインを通じてものごとを捉えるということは、対象物を膨らませて考えると言い換えられるかもしれません。単純明快に対象を1次元の点で押さえるというよりも、2次元の面として、さらには3次元の立体的に押さえるといった感じでしょうか。 「デザインと…

責任がリーダーをつくる

マネジメントを知ることと、マネジメントすることは近くて遠いものです。実践を基本に置く問題系とは、過去の振り返りを得意としていますが、一方でそれをそのまま未来に適用できるとは限りません。 その意味で、リーダーシップというものも、結果としてそれ…

自分は何を前提にしているか?

わたしたちはものごとに対し、過去の経験則に則って効率的に対処する能力に長けています。しかし、その能力が知らず知らずのうちに足を引っ張っていることもあります。 「前提を疑え!」 これがここでのテーマになります。 問題というものは、基本的には何ら…

まず違いからはじめよ

意思決定が求められる場合、一歩間違えると急いてまとめることばかりに注意が向かいがちですが、決めることと熟慮することは決して背反するものではありません。 アイデアの発展段階や意思決定における検討段階では、アイデアの真価を問いその価値を高めるう…

全体とはなにか、一歩立ち止まって見直してみる

私たちは気軽に『全体』という考え方を用いますが、全体とははたして容易に捉えられるものなのでしょうか。 概念としては、すべてを総じるまるで神のような視点を意図しているわけですが、実際の私たちの視野は、特定の志向性を持っているものです。 フォ レ…

組織の特徴を体現するもの

文化というと、なかなか容易ならざるものとのイメージがありますが、『醸成』という動詞がフィットする意味でも、時間をかけて積み重ねていくことが求められるものです。 人々の企業観を大まかに要約すれば、「企業の卓越性=組織設計×組織文化」となる。 組…

ビジネスの根源

私たちはどうしてもわかりやすい部分に着目しがちです。形なきものよりも形あるものの比重が意図せずとも大きくなりやすいことを意識しておくといいかもしれません。 「コト」とは結局、「人に向き合う」という話です。 ブランディングにおいて、いちばん重…

共感こそがカギを握る

共感、共有、共創… 『共』という概念がデザインを考える上でのキーポイントに挙げられます。 一方、デザインは、その発端を個人ではなく社会にもつ。他者と共有できる問題を発見し、それを解決していくことが「デザイン」である。だからデザイナー は、より…

データは万能ではない

ビッグデータの流行は、メリットも多い一方で、データを過大評価しがちであるという危険性も見逃せません。相関関係が大量にあぶりだされてくることで、何だかわかったような気になってくるものです。 予測は、それが重要であるのと同じ理由で難しい。客観的…

技術はモノに紐づくのか、人に紐づくのか

技術といったとき、初めに思い描かれるのは何らかのモノ(製品)をイメージされるのが通例かもしれません。しかし、技術が何に従属するのかという原点に立ち返ってみれば、モノに従属する技術というよりも、人に従属する技術という視点が浮かび上がってくる…

デザインは自らに向かって指し示す

デザインというと一般的には、外部に向かって発信されるものと捉えられます。その場合、どうしても見栄えの善し悪しが強調されます。もちろんそういう側面も重要ですが、より踏み込んでデザインの役割、可能性をひろく問い直すと何が見えるでしょうか。 デザ…

経営とは特殊解なのだろうか?

複雑であること、特殊であることは、はたしてネガティブなことなのでしょうか。 経営や人間の行動というと、どうしても自然科学に比べて一般化しづらい、あいまいなものととらえられがちです。しかし、それが一般的なものか、特殊なものかは、何を追求するか…

ITでは満たすことの難しいリアリティ

ビッグデータをはじめ、今やデータ全盛の時代である。データを駆使すれば、できないことはない、見えないことも見えるようになる。まさにデータ様さまである。 一方、データのようにきれいに割り切れないのが人間が人間たるゆえんともいえる。本来はビジネス…

二兎追うものが三兎を得る?

日本ではいまだものづくりが強調されますが、モノにとらわれすぎて本質を見失っては元も子もありません。 いいモノができた→売れた→もうかった――といった流れではなく、人間の幸せや社会の課題にどのように貢献できるのか。そうしたことに取り組んだ結果、利…

主客という二分法を超えて

西洋科学の基本作法からいえば、客観性が重視されるのはあたり前のことといっていいでしょう。一方で、ビジネスは自身が主体的にコミットすることを出発点とするものですので、主の領域が客の領域に押し切られるべきものではありません。 多くの企業で「顧客…

ビジネスにコミットするということ

あいまいな言い方かもしれませんが、ビジネスに対する距離感というものが、その成否における大きな判断材料になります。 科学的、客観的分析においては、対象に向かって一定の距離を保つことが推奨されます。第三者的目線と言い換えてもいいかもしれません。…

いま一度CSR、CSVを見つめ直す

CSRやCSVという表現が多用されるようになってずいぶん経ちますが、そもそもどうしてそういった論点にスポットが当たるようになったのでしょうか。 本来の意味でいうと、「CSRとは企業活動そのもの」と言っても過言ではない。CSRは、企業を取り巻く顧客…

購買を対話にまで昇華する

いつの時代も、顧客やそのニーズを軽視することはできません。しかしながら、顧客に合わせるという受け身のニュアンスを含んだ対応では、それなりの満足は得られるとしても、突き抜けた満足を見出すには至らないでしょう。 モノが重要なのか、それともモノを…

足元の一歩としての意志決定

将来を見据えることと、今を注視することは、決して背反するものではありません。むしろ、現前の一歩を着実に積み重ねていくことで、未来が少しずつ引き寄せられてくるといえるでしょう。 重大な意思決定を迫られたマネジャーが、リソースにも知識にも恵まれ…

リスクとは計算に入れるということだけではない

こうあってほしいという願望が、知らず知らずのうちにわれわれ自身の目を曇らせているということが往々にしてありえます。 想定外という便利な表現は、責任転嫁には貢献しますが、それ自体に何ら有意性を見出すことはできないでしょう。 もちろんどんなに手…

意思決定にオフはない

意志決定というと一般的に、先を見据えた未来志向のものと考えがちですが、現状もまた意志決定から切り離すことのできないものです。 新しい何かを始めることだけが、重大な意思決定ではない。現在行っていることを継続するという判断も、同じように重大で、…

企業体における継続、継承の位置づけ

近年、だいぶ欧米化が進んできたといっても、やはりムラ社会に代表される日本的な近しさというもの抜きに経営を語ることはできないのかもしれません。 日本流などという言い回しはもはや使い古された表現ですが、それが良いか悪いかという極端な二元論から離…

不確実性を飼いならすということ

誰しも不確実、不安定なものは避けたいものですが、それは暗に確実安定を求めていることも意味しています。もちろんそういった見込みの確からしさで判断できるものもありますが、未来はすべてを推し量りえないことがデフォルトです。むしろ機会とは、わから…

そのストーリーは妥当な使い方がなされているか?

ストーリーというと、われわれの認知を容易にしてくれるメリットが思い浮かびます。たしかに、まったくのランダムなものよりも、ある特定の連想やイメージで一貫性のある文脈として提示されたほうが、内容を理解しやすいと言えるでしょう。 矛盾や不一致がな…