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技術はモノに紐づくのか、人に紐づくのか

技術といったとき、初めに思い描かれるのは何らかのモノ(製品)をイメージされるのが通例かもしれません。しかし、技術が何に従属するのかという原点に立ち返ってみれば、モノに従属する技術というよりも、人に従属する技術という視点が浮かび上がってくるはずです。

P・F・ドラッカーも、テクノロジーのとらえ方として、モノに結び付けられるものよりも、人に結びつく「仕事」という観点からテクノロジーを考察しています。

テクノロジーとは、…道具、機械、製品にとどまるものではない。「ものの行われ方やつくられ方」についてのものにとどまるものでもない。それは「人の行い方やもののつくり方」に関わるものである。 傍観者の時代 P・F・ドラッカー

いまだ日本では、モノづくりがビジネスの中核を占めるという認識が色濃く浸透しているため、技術というと製品や生産分野の専売特許とみなされる傾向にあります。実際、象徴的に技術を見える化するものとして、優れたプロダクトがいくつも思い浮かぶことも事実です。

非常に雑駁な方法ではありますが、仮にモノと人、二つの領域に区分けするとした場合、技術はどちらに含まれるでしょうか。 ビジネスを推進する上での様々な働き掛けが、何らかの技術に裏打ちされているわけですが、それが分かりやすい形でモノに投影されるのは、非常にレアなケースかもしれません。

技術をピンポイントで描き出すだけならば、モノ中心の発想でも十分かもしれませんが、技術を一連のビジネスの体系そのものとみなすマネジメントの発想では、人に紐づけられた技術という視点なしには、技術本来の役割を捉え損なうことにもなりかねません。