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企業としてのしなやかさ

レジリエンス=しなやかさと捉えるならば、企業活動にとって何ら特殊なものではありません。現実に即応するというと何だか場当たり的な言い回しかもしれませんが、うまく応じるということは、そこに至る下地が予め培われている、それが『しなやかさ』の正体です。

こうした意味からすれば、しなやかであることは何ら特殊なケースへの対処ではなく、日常的に求められる素養なのかもしれません。企業力をはかるといった場合、目につく短期成果に偏重して評価されがちですが、一方のレジリエンスとはそれほど目立つものではありません。しかしながら、日々の活動を下支えし、長期的にじわじわと効いてくる点にその強みは見出されるべきものです。

レジリエンス」は専門家の間では「定義が数十もあると言われるが、一番分かりやすく言えば、回復する力とか復元する力のこと」 東日本大震災では3000人の関連死が!「国土強靭化」に欠けている「レジリエンス」という視点 現代ビジネス

レジリエンスというと、昨今の震災復興をはじめとして、どちらかといえば技術系のイメージが強い言葉かもしれません。もちろんそこにはハードのみならずソフトの対応も大きく貢献するという意味で、一概に技術的とは言えないという反論もあるでしょう。

しかし、非常時への備えというイメージは必然的に特殊な領域のものとして、日常業務からは切り離されがちです。あまり使わないものはいつの間にか脇に追いやられてほこりをかぶるのが常です。また特殊な領域はその道の専門家に任せておけばいいとなれば、他力本願で距離を置いたものとなります。

一方でレジリエンスを日常的なしなやかさととるならば、そこから逃げ出すことはかないません。企業活動がその内外を問わず、他者との折衝の積み重ねとして形成される以上、押されたら引き、引かれたら押し返す、力のぶつかり合いの場面ではレジリエンスが継続性を担保する要因になります。

解りやすい強さとは押しの強さではかれるものですが、真の強さとは、強引な力技とは異なります。むしろ十全に処しうるしなやかさこそが企業の強さを決定づける要因です。