something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

ターゲットを3次元化する

デザインを通じてものごとを捉えるということは、対象物を膨らませて考えると言い換えられるかもしれません。単純明快に対象を1次元の点で押さえるというよりも、2次元の面として、さらには3次元の立体的に押さえるといった感じでしょうか。

「デザインとはモノに意味を与えることである」とクラウス・クリッペンドルフは述べています。意味とは、情緒的、社会文化的な新しい価値、生活必需品の先にあ る未来のことをさします。意味は新しいニーズをもたらし文化へと定着します。現状の問題を観察、発見し改善していくのではなく、モノに新たな意味を与える デザイン、未来そのものを生み出す考え方がデザイン主導主義なのです。 デザインへのまなざし 早川克美著

一般にものごとの分析的な理解では、一つの観点を掘り下げて、より具象的、数値的に把握することを目指します。一方で、ビジネスを進化し続けるフローとしてその文脈に重きを置く意味では、引きの目線を活用しつつ、複数の視座を掛け合わせる効果が求められます。

このようにデザインの効用を捉えたとき、外形をはじめとする個別対象の評価はねらいとするものの断片にすぎません。デザインがコミュニケーションの一種であるという解釈に立てば、わかりやすさやインパクトというメッセージ性は不可欠なものですが、形は入口であって出口ではありません。具象の先にデザインの真の役割が見出されるはずです。