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伝わるの先に目指すもの

細かな違いですが、「伝える」とは意志的なものである一方、「伝わる」とは事実です。キャッチボールの関係性でいえば、伝え手志向に対する受け手志向の違いと言い換えることもできます。

「伝えた」といえば、それも事実ではないかといわれるかもしれませんが、伝えたけれども(実は)伝わっていなかったという事態も考慮するならば、伝えた(という自身の思い込み)だけではまだ何も担保されていないのです。

大切なのは「伝え方」(one to one/自分と相手の関係)から「伝わり方」(n to n/自分と相手に加えて複数のステークホルダーとの関係)へと自由に視点を動かしながら、仕掛けや仕組みを発想することです。 「伝え方」から「伝わり方」へ---さらなる発想の転換は「脱・コミュニケーション」!? 現代ビジネス

伝わらないということは、存在しなかったことと同義です。メッセージ性といった場合、そこにはメッセージ内容だけではなく、メッセージとしてのインパクトが含まれます。インパクトとは一方的な働きかけによるものではなく、反響としての感触が含まれます。メッセージのリアルな手触り感とでもいえるでしょうか。

幸か不幸か?、最近はリアクションを比較的容易に拾うことが可能になってきました。これは従来、自己のアプローチの埒外に位置付けられたものが、考慮の範疇として組み込まれるようになったことを示しています。

伝えるを伝わるに転化することが当面の着地点ではありますが、その上で、「伝わった先にあるもの」をつくりこんでいくことが次のターゲットになってきます。それは伝達的なやり取りというよりも、事実を介在させた相互の関係そのものへと焦点が移っていくこととも読みかえられます。