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経営とは特殊解なのだろうか?

複雑であること、特殊であることは、はたしてネガティブなことなのでしょうか。

経営や人間の行動というと、どうしても自然科学に比べて一般化しづらい、あいまいなものととらえられがちです。しかし、それが一般的なものか、特殊なものかは、何を追求するかという目的性と連動して変化するものです。

すなわち、個々の事例に左右されない普遍的で恒常的な本質、法則性が存在すると信じるのであれば、自然科学とまったく同じ方向性で研究手法を磨き上げていけば、社会科学としての経営学も、いつかは自然科学の他領域のような厳密性を持つに至ると信じることができます。 一方で、個々の事例には個々の事例にしか存在しない特殊性があり、そうした特殊性により、その物事の本質が定まると考えるのであれば、自然科学とまったく同じ方向性で研究手法を磨き上げていくことが、必ずしも意味のある答えにつながらないと主張することできます。 なぜ、経営学はこれほど誤解されてしまうのか? 自然科学との対比で社会科学の本質を読み解く ダイヤモンドオンライン

管理をベースとした、定形化、精緻化、効率化を追い求めるのであれば、科学的な一般化が有効になります。一方で未知の領域に踏み出していく、独自性や将来像を描き出すに際しては、特殊であることがむしろ問われることになるでしょう。

このように目的とする落とし所によって、普遍と特殊のいずれが優位かが変わります。これがマネジメントの領域には混在し、その線引きがあいまいなため、一見して複雑な問題と映るのです。

言い換えるなら、マネジメントという大きな括りの中に、ダブルスタンダードを抱えているという点で、複雑であるという認識は妥当なものでもあります。しかし、複雑だから対処しえないということではなく、対象(目的)に合致したアプローチを選択しさえすれば、複雑かどうかなど二義的な問題にすぎません。

安易に正解を求めようとすれば、かえってゴールは遠ざかっていきます。正解というよりは目的を問い続けることがマネジメントの特徴を示しているといえるかもしれません。