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リスクとは計算に入れるということだけではない

こうあってほしいという願望が、知らず知らずのうちにわれわれ自身の目を曇らせているということが往々にしてありえます。 想定外という便利な表現は、責任転嫁には貢献しますが、それ自体に何ら有意性を見出すことはできないでしょう。

もちろんどんなに手を尽くしても、あらゆる事態を想定するなどということは望むべくもありません。しかし、自分たちの都合に合わせた甘い側の想定しか考慮しないということは、当然相応の報いを受けるということを意味します。

経済学者たちは、脅威を過大評価するどころか過小評価することが多いのだ。 我々は、不可知の事象の対価を正確に計測することに取り組むのではなく、発生する確率は不明だがぞっとするほど大きなコストをもたらすカタストロフ(大変動)について考え、それに対する保険をかけるにはどんな代償を払えばよいかを検討すべきなのだ。 経済モデルが不完全であることは避けられない。そもそも、データの供給元である気候モデルよりもデータを受け取る経済モデルの方が正確になるということはない。 無視すると高くつく壊滅的な気候変動のリスク JBPRESS

たとえば、災害対策というものは予防的措置と即応的措置の組み合わせで構築されます。それはリスクとして管理された状況であって、想定内と想定外を線引きすることではありません。

どんなに予想とかけ離れていたとしても、現実から逃げだすという選択肢はありません。予めヘッジできればそれに越したことはありませんが、なにが起ころうともそれを正視し、粘り強く対処する中で生き筋を見出していくこともリスク対応の大きな柱の一つです。