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工業化か脱工業化か、それは選択の問題だ

20世紀の工業化、大量生産中心の思想から、そろそろ脱却する時なのかもしれません。 けっしてあたり前ではなかった標準化という発想が、この100年でわれわれの認識をロックオンしてしまいました。そのことに意識的に疑問を呈することがいま求められています。

セカンドウエーブからサードウエーブの進化の本質は、「標準化と均質性の追求、独占、クローズ」から、「個性と多様性の追求、オープン&シェア、透明性」への大きな価値観の転換だ。現代ではこの変化が至る所で起こりつつある。 小さな会社や個人でも、必要な経営資源を持てるようになったおかげで、これまでの標準化・均質化された「質よりも量」の世界から、多様性と個性を尊重した「量よりも質」の世界に、世の中全体が“進化”しているのだ。 「スタバの次」の時代到来は必然である? ブルーボトル人気の裏にある、人間の本質的欲求 東洋経済オンライン

農業は元来自然を相手にし、地域ごとの個性を強く反映するものでしたが、これも工業化の影響を強く受けてきました。今現在もなお、野菜工場に代表されるように、工業化を一つの優位性として追及する面はあろうかと思います。

一方で、脱工業化とでもいうべき、多様性を許容する、もしくは多様性を積極的に追及する姿勢も各所にみられてきています。豊かさの帰着点は一つではないことの証左と言っていいでしょう。

何を規格化し、何を個別化するかは選択の問題です。いずれが一方が正しいということではありません。さまざまな制約条件から、規格化を優先するというのが工業的発想の主流にあったのは事実ですが、そこに留まったままでは発展性がありません。

高度に技術を使いこなすということは、この選択の自由度を十分に確保できるということを意味します。現代の豊かさとは、単に一様か多様かという尺度ではなく、いずれをも選択できるという点にあるといえるでしょう。