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ケイパビリティーとリテラシー

ケイパビリティもリテラシーも、一般に日本語では「能力」を表す言葉で、それらの違いはそれほど明確には意識されていないでしょう。

これまでいくつかの稿で、リテラシーをテーマにしてきましたが、そこでは「使いこなす」とか、「体得する」とかいった意味合いが強かったように思います。ノウハウとまで言ってしまうと、形式化しすぎる印象がありますが、知的エッセンスを重視し、あらかじめ素養として身につけるべきものという位置付けにあたります。

一方のケイパビリティは、もう少し汎用性の高い言葉で、結果重視といいますか、実践的側面での対処力や柔軟性を含んでいます。日本語でいえば、機転洞察なども意味するものと理解できます。

より知的側面に特化した、理詰めで正攻法のリテラシーに対し、状況を織り込みつつ実践にも配慮した、応用的で伸縮性あるアプローチがケイパビリティの領分ともいえるかもしれません。

アドバンスト・デシジョンでも論じていますように、ここでは、ケイパビリティを多様な能力構成として全体像を捉える一方、特に知識や情報を駆使して、前もって備えておく、導入ステージをリテラシーの領分として線引きしています。 マネジメントにおいて各種リテラシーが欠かせないのはもちろんですが、リテラシーだけでは対応しきれないという意味で、ケイパビリティがリテラシーをも包摂すると考えておくといいでしょう。