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インテリジェンスを超えて ネクストインテリジェンス

(注)ここで提起するインテリジェンスとは、従来型のインテリジェンスコミュニティを 形成してきた軍事、外交領野のインテリジェンス理解とは一線を画すものです。一般的なビジネスへの応用では、一歩踏み込んだ領域までをインテリジェンス課 題と理解すべきとの趣旨から、これをネクストと称しています。既存のイメージに縛られず、ゼロベースでインテリジェンスのあり様を設定していく段階に来て います。 - - - - - インテリジェンスの基本理解については、『インテリジェンスとは』で扱いました。しかし、旧概念との混濁が生じやすいとの意見もあり、ここではあえて新規性に限って整理し直してみます。

情報や知識に偏重したインテリジェンスの問題点は何でしょうか。 情報の確保や占有と、それを活かして有効な経営判断を行うことは同義ではありません。知識と行動の結びつきを考慮しない限り、経営におけるインテリジェンスの意味は半減します。情報が比較的入手しやすくなった現代のICT環境においてこそ、この点を肝に銘じておく必要があります。

さらに、情報コミュニティは数値化を基本に、客観中立を選好する傾向が強いですが、純粋科学と違ってビジネスでは、計量モデルの枠をはみ出るような不確定要素を含むのが必然です。計算を超えたものが意思決定の本質でもある以上、過度に情報化を追い求めると、その先なる実践が見えなくなる危険を伴います。

加えて、ビジネスは1対1の直接競争だけでなく、複雑に入り組んだ相互関係を通じ、多くの参与者と結びついているのが現実です。その意味で、単に競合に競 り勝つといった、シンプルな競争図式だけでは対応しきれません。拠って立つ基盤、たとえば市場認識そのものが変わっていくことも考慮しうる柔軟性もインテリジェンスでは求められるのです。

このように、ビジネス実践から見直してみると、インテリジェンスが単独で存立することはなく、つねに意思決定および実践行動と紐づいていてこそ有用なものであることがわかります。知行合一とはよく言ったもので、活きたマネジメントに連なるインテリジェンスが求められているのです。

われわれのミッションはインテリジェンスのある/なしといった目先の賢さではなく、インテリジェンスを最大限に生かしたビジネスのあり様をつくり上げていくことに主眼があります。 あくまでインテリジェンスとは手段であって、それを使いこなすこと、それがここで新たに提起する視座、ネクストインテリジェンスに他なりません。