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インタラクションとソーシャル性

インタラクションは日本語でいう相互関係です。それだけですとあまり特徴が見えてきませんので、関係性をマネジメントで扱う意義を整理しておきたいと思います。類似の概念として、『チームとコラボレーションの関係性』でも関係基盤の活動を取り上げていますので、併せて参照してください。

はじめに、相互関係というと、いかにネットワークから有用なものを引きだすかというイメージを持たれるかもしれません。自分論理では至極当然の見方ではありますが、これですとインタラクションの半分を押さえたにすぎません。 双方向であるということに立ち返ってみるならば、自分で何とかするという対照軸として、相手方の活動に委ねるという思い切りも必要になってきます。ここら辺のさじ加減が、これまでの主体性強調によるアプローチとは一線を画す部分ですので、注意が必要です。

次に、コラボレーションとの違いに着目すると、インタラクションでは、異なる志向性が混在することに意味があります。端的にいうと多様性と いうことになりますが、違いを違いとして意識することが、新たな気づきを生みだします。人間とは自身の思考に固執する性質があります。固執しているという 事実に気づくことがらが出発点といってもいいでしょう。マネジメントも現状延長ではどうにもならないということが問題意識にあるはずですから、固執の殻を 脱ぐことからはじめなければなりません。

志向性の異なる雑多なものでは集約できないと思われるかもしれませんが、異なる志向とはチェックリストに他なりません。どうしても早く結論に集約したがるものですが、インタラクションとはむしろ発散のツールですから、使い方を誤らないように注意すべきです。

近年のソーシャルへの関心の高まりも、これに連なる問題認識といっていいでしょう。それを安直にビックデータとその処理に結びつけてしまうと、本質を違え ることにもなりかねません。ソーシャルとは、短絡的にはマーケティングに資するものかもしれませんが、ここではむしろビジネスの根幹を構成するメカニズム として考えていくことにします。 併せて、インタラクションを強く意識することは、サービス性をマネジメントで強く意識していくことにつながります。

実際のフィールドとして関係の広がりを考えますと、現代のマネジメント環境は大きく拡大してきています。グローバル化と情報化が市場の定義を変え、顧客の 役割まで変容させているのです。インタラクションの密度が高くなっていることは喜ばしいことですが、いたずらに量を追いかけると全体が見えなくなる危険も はらんでいます。

インタラクションが自ずと答えをもたらしてくれるといった誤解があるかもしれませんが、インタラクションとは単に自分と相手とのバランスを示すもので あって、それ以上でもそれ以下でもありません。むしろ相手を介して自分を見つめ直す写し鏡のような存在ですし、遠回りなプロセスは決して効率性を求めるも のでもありません。しかしその冗長さにこそ、真摯に現実に向き合うことへの覚悟を改めて思い起こさせてくれるはずです。