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起点としてのデシジョン

デシジョン(意思決定)はマネジメントにおいて必須の要件です。もちろんわれわれはそれほど意識もせず日々意思決定を行っています。マネジメントを体系だてられたプロセスにしていくためには、このデシジョンを意識的につくり込んでいく必要があります。

はじめに、デシジョンの能力は知識によって決まるといっていいものでしょうか。前もって道筋を定めるプランニングであれば、知識に直結するといってもいい でしょう。しかし、意思決定は実践に組み込まれた活動の断片ですから、脈絡を無視した理想形のデシジョンなどというものはありません。言い換えるなら、状況に応じて刻々と変化させていくことがデシジョンの基本にあります。この意味で、デシジョンとは、知識以上に観察力や行動力が問われるものなのです。

次に、意思決定した後についても、いま一度見直す必要があります。ややもすると、われわれは適切な意思決定=適切な結果と単純に信じてしまうきらいがあり ます。しかし、上記のように意思決定は時々刻々変化するものですから、一度意思決定すればそれで結果が担保されると考えるのは時期尚早です。意思決定は終 着点ではなく、意思決定してからが始まりであると考える必要があります。

よく、変化に対処するという言い方がされますが、これは変化を押さえこむ、安定させることが含意されています。変化というものが突発事象であれば、こうしたアプローチが有効に機能しますが、変化が常態(当たり前)だとしたらどうでしょうか。マネジメントは結果を求められると同時に、変化し続けることが求められるものです。つまり変化に終わりはないということです。デシジョンも状況変化に対処すると同時に、デシジョンによってこれからの変化をつくり込んでいくものなのです。

デシジョンを起点として位置付け直した時、開けてくる世界観を示したものがアドバンストデシジョンです。これは伝統的な意思決定が一つの到達点、クリアすべきステップとして消化されていたのとはまったく異なるロジックを採用しています。 「いかに優れた意思決定を為すか」ではなく、「意思決定の先に、または意思決定をしながら、何を見出していくか」が、いま問われています。