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サービスデザインの視座

日本におけるサービスのイメージは、接遇やおもてなしなど、ヒューマンタッチの領域と見なされる傾向が強いかもしれません。しかしそれは一面的な特徴を捉えているにすぎません。

ビジネスとは元来、人と人とのつながり、ネットワークをベースに形成されるという意味で、サービスと捉えることができます。これは従来の1 次、2次、3次といった産業区分とは別の話です。扱う対象物がなんであれ、それが社会というネットワーク上で営まれる以上、サービス性のない産業など考え られないということです。つまりここでいうサービスとは、人間関係を資産に、ビジネスを構築することに他なりません。

このように捉え直した時、サービスのポジションは顧客の領域というよりも目的の領域で、自社ビジネスの出発点に据える問題ということになります。ここでは、ビジネスのビジョンやコンセプトに強くサービス性を提起する意味で、これをサービスデザインと位置付けています。

サービスデザインとは、自らのビジネスを定義づける際、サービスを基調につながりを最大限意識したビジネス像を描き出していくことです。関係性のマネジメ ントといってしまえば特段新しい問題ではありませんが、優先順位が異なります。どうしてもこれまでは、製品をはじめとしてわかりやすい部分が主体で、サー ビスはその背景、脇役であったように思われます。幸い近年の情報化と進展は、これまでの前提をいい意味で突き崩してくれています。これからはまさにサービ スが主体となる時代といっていいでしょう。