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競争概念を拡張する

生命体が生き残るために日々を賭しているように、人間も、また人間のつくりだした組織も、こうした性から逃れることはできません。物事の複雑さの度合いは 違うかもしれませんが、われわれも生命体のひとつとして、生態系から学ぶ出べきことが多くあります。競争もまさにそういった一例と言えます。

ただし、人間が人間たるゆえんを踏まえるとき、はたして競争だけで足りるでしょうか。組織を構成し、社会を構成する人間は、単に弱肉強食の競争だけでは済 まされない、知と視座をもっているはずです。もちろん勝ち負けは重要ですが、それに縛られない、むしろ勝ち負けを超えた関係性というものも考慮してはじめ て、人間らしい競争の形が見えてくるように思われます。

ここでは、一般的な『競争』を出発点に、『協奏』、『競創』、『響想』を加え、4つの視点から競争を捉え直していきます。あわせて、従来の概念より柔軟性ある競争を位置付けるにあたり、これをカタカナの『キョウソウ』と表現することで、多面性を含んだロジックとして整理していきます。(これ以外に『共創』という考え方もありますが、それはまた別のところで論じてきたいと考えています)

競争のベースとなる関係性に関わる問題は、近年の情報化の進展、ネットワークの拡張、ソーシャル化の流行等によって大きく変貌を遂げている最中です。「つ ながり」がキーワードになっているように、関係は濃いものから薄いものまで、狭いものから広いものまで、多岐にわたります。単に二者間の勝敗に還元できな い複雑さの網の中にわれわれは囚われていると言っていいかもしれません。その意味では、関係を直視し、相互関係を解きほぐし、それらをしっかりと御してい くことがビジネスの、そしてキョウソウの生命線です。 キョウソウマネジメントとは、つながりマネジメントに他なりません。

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