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経済と経営 着眼の差異はどこにあるのか

すでに情報化されたモノを扱う思想では、対象は客観化された無機的状態であって、個別事象の不確実性はすでに除去されています。いわば顔の見えない関係性 です(関係が主題でないともいえるでしょう)。もちろん客観分析を旨とする科学や経済のアプローチでは、こうしたフィルタリングは効果、効率、精緻化の面 で有効です。

一方、個々の意思決定による影響が顕著に認められる経営課題に対処する場合、むしろその個別性、不確実性が含まれる事象が前提のため、一律に規格をあてはめるやり方では、重要な点を見逃すことにもなりかねません。

経営インテリジェンスでは“顔の見える”関係が不可避なのだ。

ターゲットの設定にあたって、普遍性を追うのか、独自性を追うのかで、インテリジェンスの志向性も大きく変わります。後者ではまさに“ヒューマン”がキーファクターであって、ヒューマンインテリジェンスといってもいいでしょう。

競争を考える上でも、上記の二つの切り口では認識を異にします。前者が競争のシビアさに忠実に、ある種冷徹な対立構図のパワーゲームとして競争状態を切り 出していくのに対し、後者では競争という相互作用のダイナミズムに着眼し、対話構図でそれを膨らませていくことになります。 言い換えるなら、クールインテリジェンスとホットインテリジェンスの対比としても捉えられます。

このように経済的目線と経営的目線ではインテリジェンスが捉えるべき対象自体が変わってきます。いずれが優れているかという二者択一ではなく、向き合う課題に応じて使い分けていくものであり、いまどちらの視点から状況を認識しているのかを意識的な切り替えが求められます。

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