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アートからデザインへ デザインとして発想する

“知”のテーマでは、ICTとナレッジの結節点にインテリジェンスが位置付けられました。同様のことが、“技”の領域でも想定されます。一般にテクノロジーがその汎用形式として位置付けられますが、もう一方で人間の内在的な特性に依拠したものはアートと認識されます。その中間領域を担うのがデザインであり、それはプロセスに注視し、インタラクションに強みを発揮する領域でもあります。

経営においても、人力が大きくその比重を占めることから、デザイン思考、デザイン発想は決して無視できません。さらに連動で捉えるならば、マネジメントで相関をフルに活用すべき領域は戦略ということになるでしょう。 一見すると、デザインが意味する領域は美的センスを問われる、表現に関わるものとみなされます。一方で経営はビジネスの実行という極めて現実的な対応が求 められるものであり、美醜でいけば醜を見据えなければなりません。そう考えると相当に温度差があるように感じられますが、デザインを“目的達成に向け筋を通すこと”だったり、“一貫したストーリーに向け総力を結集する働き”と捉えるならば、両者はがぜん同一の地平に併置することができます。

人間行動にデザインを適用するということは、一見無関係に見えたり、関係があるとしても効率の最大化といった完成度を問うような印象があるかもしれません。しかしここでいう相関を活かす人間行動では、関係性を取り込んで新たな展開を掘り起こす、未来志向の活動がそれにあたります。意思決定やリーダーシップの発揮はあらかじめ答えのある、収まりのいい問題系ではありませんが、むしろ壁を突き破っていくパワフルな側面にこそ、デザインたる意味を重ね合わせていくことができるでしょう。

デザインとは、ごく当たり前に見受けられる概念ではありますが、関係解釈が大きく変容、流転している状況下では、機能としてさらなる付加価値を求められるものです。リレーショナルを最大限に活かしていく方途として、もう一段高次のデザイン思考がいま求められているのです。

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