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顧客の位置付け 非コントロールなもの

マネジメントは一般的にコントロール中心の概念ですが、最近のソーシャル性の高まりは、コントロールという発想の枠に当てはまらない、非コントロールの領域を強く意識させます。

ここでコントロールということを見直していきますが、それは、自らを核とする問題規定、問題解決の捉え方といえます。主体性の発揮といってもいいでしょう。別掲『イニシアチブの射程』でも触れているところです。 では非コントロールとはどんな意味でしょうか。

ひとつの考え方としては、内から外へという視点を逆転させた、外から内へという、他者の受容、もしくは客観的な関係把握ということになるでしょう。 しかし、単純に(実際に容易ということではありませんが)他者に目を向け、他者を取り込んでくるということであれば、これまでも顧客に耳を傾けるといったように、取り組まれてきたアプローチです。

やはり内に取り込んでくるという発想は、どうしてもコントロールの体系の延長にあるようです。では、それとは違う道筋とはどういったものでしょうか。 ここでキョウソウという意味合いが活きてきます。

キョウソウでは、自己に還元するという従来の閉じた枠組みを超えて、自己と他者(もしくは自社と他社、自身と顧客)を併置し、なおかつ互いの視線を共通の将来という外に差し向けていくものです。ソーシャルとはまさにこうした系譜に連なるものですし、相互性という意味では、インタラクションといってもいいでしょう。(インタラクションに関しては、別掲『インタラクションとソーシャル性』を参照してください)

基本フレームにおける『顧客』というステージは、こうしたつながりのパートナーである他者の領域を明確に位置付けていくためのものです。こ れなしにはビジネスは完結もしませんし成功もしません。さらには、単なる着地点としての需要の落とし所に留まるものではないということです。近年、顧客の パワーが増しているというのは、基本となるロジックが変容してきていることの証左です。

マネジメントの立場からはどうしても、非コントロール域をいかにコントロールするか、という論理的に破たんした思考に陥りがちなものです。どうやっても非コントロールはコントロールなどできません。非コントロールな領域を真摯に認め、いかにそれらとつきあっていくか、これが今後ますます求められる視点です。