something eureka

思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

与えられる秩序、自ら見出す規律

効率や迅速さにおいて、上からの半ば強制的方向付けが功を奏するのは事実である。一方で、そこに足りないのは、相手をその気にさせる仕掛けである。

正しさはその正しさゆえに息苦しい。そこに個々人の信念が絡み合えば、正しさはおのずと強化される。正しさをむやみに追及するよりも、信じられることを構築していくことが、結果的には正しさをつくっていく。

正しさと信じることはコインの表裏の関係ともいえるだろう。

「体系重視の人間」は、〈自分自身がとても賢明であるとうぬぼれる〉。心の中に描く、理想的な統治システムの美しさに心酔して、ごくわずかな逸脱も我慢できない。こうした統治者は、あたかもチェス盤に駒を並べるように、社会の構成員を管理できると考えているのだ。だが、チェスの駒とちがって、人間社会という「巨大なチェス盤」の上では、それぞれの駒、つまりひとりひとりの人間がバラバラな動き方のルールを持っている。

情報源: アダム・スミスの「神の見えざる手」を多分、あなたも誤解している(高 哲男) | 現代ビジネス | 講談社(4/4)