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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

2013-01-01から1年間の記事一覧

ケイパビリティーとリテラシー

ケイパビリティもリテラシーも、一般に日本語では「能力」を表す言葉で、それらの違いはそれほど明確には意識されていないでしょう。 これまでいくつかの稿で、リテラシーをテーマにしてきましたが、そこでは「使いこなす」とか、「体得する」とかいった意味…

成長志向の罠

経営課題を数値化を通じて理解することは、しごく当然の分析手法です。より客観的、理知的に現象を捉えていく上で、定量化することは非常に効果的なもので す。しかし、数字に過度に依存すると、経営の筋道を見えなくする危険性もはらんでいます。数字はもの…

戦略的模倣

イメージの罠 模倣や諜報(インテリジェンス)と聞くと、どうしてもネガティブなものを想像してしまいがちです。もちろんそうした文脈で使われることが多いのも事実です が、特定のイメージに縛られることは、自ら視野を狭くしていきます。無自覚な前提の怖…

リテラシーと経営実践

リテラシーとは端的にいえば知的能力、素養といったものです。 つまり、リテラシーとは事に向かい合う事前準備として、最低限の認識、咀嚼の水準を示しています。これを基に実践行動を組み立てていくという意味で、なくてはならないものですが、それ自体を目…

イニシアチブの射程

経営課題を考える際には、それほど意識されていませんが、自らの采配によって結果が規定されるものだという暗黙の前提があるように思います。もちろん目的 と成果をいかに結びつけるかが問われるという意味で、こうした理解は至極当然なものですが、一般的に…

アドバンストデシジョンの位置づけ

意思決定のサードレイヤーに位置付けられるものがアドバンスト・デシジョンです。 アドバンスト(Advanced)とは進んだ、高次のといった意味合いですが、別にデシジョンを高尚なものとしましょうということではありません。 ただ、われわれが安易に決断とイ…

プラクティカルデシジョンの位置づけ

意思決定のセカンドレイヤーに位置付けられるのがプラクティカル・デシジョンです。 プラクティカル(Practical)とは実際的、リアルといった意味合いですが、なぜいまさらそれを強調する必要があるのでしょうか。 もちろん、意思決定自体も実践的なものです…

プロポーザルデシジョンの位置づけ

意思決定のファーストレイヤーに位置付けられるのがプロポーザル・デシジョンになります。 プロポーザル(Proposal)とは提起、発議といった意味ですが、なぜ意思決定が提起なのでしょうか。 意思決定とは単独でみれば選択肢をひとつに特定するという意味で…

デシジョンの守備範囲はどこまで広がっているか

意思決定はわれわれにとって避けて通れないものです。その意味でビジネスに限らず日常的に向き合わざるをえません。しかし、私たちは意思決定を少し安易に 捉えすぎるきらいがあります。確かにそれを実行するのは自分自身ですから、自分次第で何とでもできる…

アートとデザイン、テクノロジーの差異

別掲『ICT、ナレッジ、インテリジェンス』でも扱ったように、“知”のテーマでは、知と情報の関わりを3者3様な特徴から整理してきました。同様のことが“技”の領域でも当てはまります。一般に技術というとテクノロジーがその代表格とみなされますが、一方で人間…

基本フレーム

はじめに、ここで取り扱うマネジメントの全体的な体系、フレームワークを示しておきたいと思います。 もっとも基本的なプロセスを、大きく4つのステップから整理していきます。 1、目的性に関する領域 ――― 自分たちはなにを ――― 2、戦略に関わる領域 ――― …

脱-競争 古き競争ロジックを超えて

競争といった場合、どういったモデルがイメージされるでしょうか。シンプルに考えるならば、相手に勝つというシナリオに立った、一対一の対決姿勢として理解できるでしょう。現前の直接的な競合や業界一位のライバルに勝つというイメージです。 伝統的な競争…

B to S そして B to M へ

これまでの一般的な競争におけるターゲットといった場合、B to B もしくはB to C という分類がなされてきました。誰と向き合うのか、それは企業組織なのか個人顧客なのか、ということです。 原則として、一回一回が独立した、その場の授受で完結するビジネス…

実行力と想像力

前掲『競争からキョウソウへ』で示したように、キョウソウという世界観を改めてゼロベースで規定し直すとき、そこには大きく二つの志向性が認められます。 ひとつには戦略やインテリジェンスを基盤とするような、押し出しの強い『実行力』であり、もうひとつ…

競争概念を拡張する

生命体が生き残るために日々を賭しているように、人間も、また人間のつくりだした組織も、こうした性から逃れることはできません。物事の複雑さの度合いは 違うかもしれませんが、われわれも生命体のひとつとして、生態系から学ぶ出べきことが多くあります。…

インテリジェンスとケイパビリティ

インテリジェンスに馴染むのは、リテラシーでしょうか、それともケイパビリティでしょうか? インテリジェンス自体が、そもそも知的な能力という意味を内に含んでいますので、さらに類似のリテラシーやケイパビリティと重ね合わせると、かえってわか りにく…

セルフデザイン 人間力の醸成

人間力を高めるとはどういうことでしょう。それは自身をデザインするといってもいいかもしれません。 人間とは常に進化途上にある存在であって、だからこそ自身を意識して磨き続けることが、われわれが“人間”たるゆえんです。ここでいうデザインとは、自らに…

なぜデザインに重きを置くのか

これまで、経営におけるデザインの重要性と協調してきました。ここでは、ビジネスデザインとして目的性を明確に打ち出すことを柱とする、デザインの構成を整理していきます。 ビジネスデザインは、マネジメントプロセスの最上流を担うものとして、大きく3つ…

デシジョンの役割を拡張する

マネジメントの質を確保し、進化させる次世代の成長エンジン アドバンスト・デシジョン 個々のデシジョン(意思決定)とは、断片的なものであり、ある意味では刹那的な印象も持ち合わせています。一点集中で力を発揮するという意味では、経験を含め知的な能…

ディメンションとは ディメンションが意味するところ

ディメンションとはあまりなじみのない用語です。むしろ立体表現3DのDだといったほうがわかりやすいかもしれません。 マネジメントをはじめとする人間行動は、多くの要因が絡み合っており、端的にそれを表現することは困難です。しかし、そんな茫洋としたも…

ダイアローグとは ダイアローグが意味するところ

ダイアローグ、会話というと平凡、平板な要素に見えるかもしれません。しかし、一見あたり前に見えるものほど難しく、また思いのほか大きなカギを握っていることも多いのです。 対話とは社会の基礎単位でもあります。異質なものどうしをつなぎ合わせ、相互に…

ダイバーシティとは ダイバーシティの意味するところ

一般にダイバーシティというと男女共同参画といった平等性、機会均等といった面で強調されることが多いです。 しかしここでは、もっと根源的な意味で、人間とさらには周辺環境が本来的に保持している『多様性』という、先入観の入り込まないフラットな押さえ…

ドリブンとは ドリブンの意味するところ

単体でドリブンと言われても、イメージがつきにくいものです。あまり一般的ではありません。それでも最近はキーワードの一部にドリブンがちらほら認められるようになってきました。 平易な意味解釈としては、ドライブ(動きある)状態といった感じでしょうか…

ダイナミックとは ダイナミクスが意味するところ

ダイナミックとは一般によく用いられる平易な表現として、また身近な事象としても理解しやすいでしょう。自然のダイナミズムや組織のダイナミズム、経済のダイナミズム、そしてわれわれ人間のダイナミズムなど。 多くのもの、多くの因子が絡み合い、複雑に影…

デシジョンとは デシジョンが意味するもの

デシジョンはマネジメントには欠かせない要因である一方、あまりにも当然なものとして、それ自体の意味が掘り下げられることは少ないかもしれません。 一般的な認識として、それまでの議論を一つの判断、結論に落としこむ意味で、一定のクローザー、収束点と…

デザインとは デザインが意味するもの

デザインは意匠やスタイルなど、製品の外面的な特質として認知されることが多いかもしれません。芸術的側面や技巧的観点が強調されがちなため、マネジメントという経営本体で用いられることはむしろ限定的かもしれません。 しかし、デザインの本質を、 目的…

アイデンティティの働き

組織的アプローチにおいて、アイデンティティはどう関係してくるのでしょうか。もちろん、個々人が確固たるアイデンティティを確立していれば、それに越し たことはありません。しかし、組織学習、組織成長という点で組織を基礎単位と考えたとき、アイデンテ…

新たなICTに軸足を移すとき

ITないしICTの話題に事欠かない日はありません。それほど、われわれの生活は情報技術への依存を深めているのですが、そろそろICTへの スタンスを見直す時期に来ています。なぜならICTの普及に比べ、われわれの考えや行動への反映という観点からすると、思い…

シェアとキュレーション 情報を活かすための道筋

料理が具材と調理法で決まるように、マネジメントも情報とその活用法で決まるといってもいいでしょう。 もちろん、絶対的な格差をもって高質な情報を独占的に握っているならば、活用法に留意する必要性は低いかもしれません。しかし、情報が普遍化し、なおか…

インプットかアウトプットか

われわれの意思決定行動を考えるとき、大きく分けて、何を認識し(入力)、何を発現するか(出力)に二分できます。 インテリジェンスとは、一般に情報に対するアンテナと理解されるため、入力型の装置として理解されがちです。しかし現実の実践面では、それほど…