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思索のヒント、ブックレビューなどを中心に

ダイナミクス

結局着地点があいまいだった

目的と手段が転倒することはよく起こりうる。過度に調和を強調すれば、ダイナミクスがおざなりになる。生きた状態を具現するには、適度な破れも計算のうちに含むことが求められる。 私が言いたいのは、知性と善意を持つ大勢の人々が、時代を画する大問題につ…

凝縮とバランス

「端的に表現する」とは簡単なようで奥が深い。特に日本語の場合、文脈や背景にかかる含意が多分に含まれるため、ただ論理的であればそれでよいとは単純に割り切れない。 表の文面と、裏の意味世界、相互の擦り合わせの妙。想像力が思考をたくましくする。 …

人口トレンドは処し方次第

人口減への悲観論の裏には、総量的な成長がなければならないという暗黙の前提が隠れている。しかし、前提そのものが崩れている現在、そうした安直な論理に縛られる必然はどこにもない。たまたま20世紀が、右肩上がりの量的拡大を必然とする時代であったにす…

隔離では物事は解決しない

何か問題があったとき、とかくそうした環境への接触を断てばことは未然に防げるような幻想がある。しかし、問題への距離感を学ばなければ、環境へ的確にコミットしているとは言えない。外部環境は否応なく巻き込まれるから外部なのであって、内と外を切り離…

集権化 vs 分散化

古臭い中央集権化に対するアンチテーゼとしての分散化。しかし、分散化は正義なのか?分散化も方法を間違えれば単なるタコ壺化に堕する危険もある。 オープンかクローズか、グローバルか自国ファーストか、とかく二分法で白黒つけたがるし、それがさも論理的…

10年先は長期なのか?

現前に振り回される人から見れば、10年先など予想しえない長期になるのかもしれないが、長短は相対的に決まる変数に過ぎない。もし10年が長期と感じるならば、いかに自分が短期思考に囚われているか逆説的に示されているし、目先の変化にばかり振り回されて…

何が変えられるものなのか、それは本当に変えるべき対象か

ものごとには変えられるものと変えられないものがあります。また、変えるべきものと変えるべきでないものという線引きも存在します。 あたり前と思われることにも、実は根拠のない前提に囚われている可能性が否めないものも多くあることでしょう。思考の慣習…

組織能としてのケイパビリティ

ケイパビリティの位置づけについては、いろいろな解釈があると思います。単純な語義としては「能力」ということでしょうが、マネジメントにおいては組織と密接にかかわる表現です。組織能と言い換えてもいいかもしれません。 組織に自ずと備わっているものと…

直線がベストだと誰が決めたのか

自然と人工、いずれが優れているのでしょうか。われわれは道具を発明し、自然を改変し、優れた社会を生み出していると錯覚しがちです。しかし、長大な地球の歴史的英知からすれば、われわれが主に関与してきたスパンなど、ほんの些細な期間に過ぎません。こ…

終わりなきプロセスには相応の意味がある

一見矛盾するようなことですが、ものごとを突き詰めれば突き詰めるほど、次なる課題に気づいてしまうことがよくあります。線形の問題認識に絡め取られてしまっていると、問いに対する答えという一対一の相関があたり前だと考えてしまいがちです。しかし、そ…

その戦略に機動力はあるか

戦略の本分が現実を変えることにあるとするならば、一旦決めた戦略だから変えられない(戦略を定めた以上後はただそれを実行するだけ)という論理は矛盾をはらむことになります。 イギリスの国際政治学者のローレンス・フリードマンですが、彼が2013年に出し…

普通であることに意味はあるのか?

ありふれた表現ではありますが、普通とは何でしょうか。 どういった状態を指して普通とみなせるのでしょうか。 あまりに当然すぎる話で、かえって説明することは困難かもしれません。 ノームコアとは、「ノーマル」と「ハードコア」を合わせた造語だ。派手な…

都市というスケールはビジネスには不向きなのか

ものごとには外面と内面がありますが、時として外面に惑わされて本質を見失うことがあります。 建築主導の都市刷新の愚行を見れば、都市というのは建物ではないことがわかる。都市とはその人々なのだ。 本書の中心的な主題は、都市が人類の強みを拡大すると…

グローバル化において「つながりやすさ」はどんな働きをするのか

グローバル化とローカル化は一見背反する事象ですが、コインの表裏の関係のごとく、切っても切れない関係にあるようです。一般には、前者が均質化を推し進めるのに対し、後者が局所化を際立たせるものです。テクスチャーとしてみれば、一枚岩なのか、まだら…

短期か長期か、その対照軸を疑ってみる

短期目標と長期目標、いずれの視点を重視すべきかは、悩ましい問題です。アメリカ流の株主志向もあり、短期的結果を追ってしまうことは、現前の評価基準を優先する意味において、当然の帰結ではあります。 「利他の精神」を掲げる企業は多くても、実際の個々…

人間行動はどこまで科学で解き明かせるものなのか

人と人とのかかわり、ネットワークの重要性は今更繰り返すまでもありませんが、こうした、従来であればヒューマンファクターとして定性的にのみ捉えられていた領域に対しても、ビッグデータや情報技術の高まりによって定量化の道筋が見えてきたようです。 人…

他者あってこそのわれわれの自由という発想

自由に発想するということがよく言われますが、自由=無制約という認識ではそれこそ無節操になりかねません。 自由の本質は、他人との関係を持たないことからくる自然状態の在り方をいうのではなく、人々との関係の充実にあるのである。われわれは、他の人と…

戦略の役割はどう変わっていくのか、いやどう変えていかねばならないか

変化には二通りの位置づけが存在します。それは迫られて対処せざるを得ない「変化」と、先んじて仕掛けていく「変化」です。 企業、組織が変化に向き合ううえでは、何を変えるか、そして何を変えないかの見極めが肝要です。当然、いずれか一方に偏ることは弊…

クールとホットの拮抗

現代の技術的進歩の恩恵として、あらゆる面でクールさが増しているように感じられます。このクールさをあえて日本語的に言い換えるならば、論理的や理知的、効率的や最適化といった側面が際立ってきます。スマートということでもあるでしょう。スマホなどの…

変化の捉え方を見直してみる

不確実だからこそ、先んじて変革を進めるべきだという論理と、不確実だからこそより安定した基盤を築きたいという心情は、同じ情況下への対応として相矛盾するものです。 解っていてもできない、という原因はこうした点にも求められます。 ほとんどの企業に…

未来志向の管理とは

「管理」と聞いたとき、あなたはどういった状況を思い浮かべるでしょう。 そこには型にはめていくといった、縛りの強いイメージがあり、創造的なものとは認識しがたいのが通例かもしれません。 しかし、「管理」をそのようなつまらないものに貶めているのは…

不安定が安定を生み出すという逆説

われわれが安心や安定を求めることは、特段否定されるものではありませんが、それを目的とみなして、なんら支障はないでしょうか。地歩を固めようという意志と、すでに凝り固まった地歩とは、似て非なるものです。 成長を目的に据えるならば、単なる現状延長…

よい制約とわるい制約、なにが違うのか?

自由と制約とはセットで扱われるものです。無条件の自由というのは幻想です。制約という縛りがあってこそ、自由という特質が顕在化することになります。ですから、自由に発想するというためには、適切な枠組みを用意するという準備が不可欠だということです…

企業としてのしなやかさ

レジリエンス=しなやかさと捉えるならば、企業活動にとって何ら特殊なものではありません。現実に即応するというと何だか場当たり的な言い回しかもしれませんが、うまく応じるということは、そこに至る下地が予め培われている、それが『しなやかさ』の正体…

解決が第一目的でいいのか

われわれは知を高邁なものとして、それを得ることで満足してしまいがちです。しかし知とは生かしてはじめて意味を成すものですから、手に入れただけではまだ何も充足していません。 折しも、時代は所有から行使へと、その主眼を移しつつあります。元来、物的…

全体とはなにか、一歩立ち止まって見直してみる

私たちは気軽に『全体』という考え方を用いますが、全体とははたして容易に捉えられるものなのでしょうか。 概念としては、すべてを総じるまるで神のような視点を意図しているわけですが、実際の私たちの視野は、特定の志向性を持っているものです。 フォ レ…

ビジネスの根源

私たちはどうしてもわかりやすい部分に着目しがちです。形なきものよりも形あるものの比重が意図せずとも大きくなりやすいことを意識しておくといいかもしれません。 「コト」とは結局、「人に向き合う」という話です。 ブランディングにおいて、いちばん重…

リスクとは計算に入れるということだけではない

こうあってほしいという願望が、知らず知らずのうちにわれわれ自身の目を曇らせているということが往々にしてありえます。 想定外という便利な表現は、責任転嫁には貢献しますが、それ自体に何ら有意性を見出すことはできないでしょう。 もちろんどんなに手…

企業体における継続、継承の位置づけ

近年、だいぶ欧米化が進んできたといっても、やはりムラ社会に代表される日本的な近しさというもの抜きに経営を語ることはできないのかもしれません。 日本流などという言い回しはもはや使い古された表現ですが、それが良いか悪いかという極端な二元論から離…

チームとはだれのものか?

組織とチームはイコールと考えてもいいのでしょうか? 多くのメンバーで構成されるという共通点はありますが、組織が枠組みを重視するのに対し、チームとはそれぞれの結びつきという機能性を注視する考え方です。 チームとは何だろうか。リーダーシップを発…